ロシア_(名称)とは? わかりやすく解説

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ロシア (名称)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/31 05:20 UTC 版)

ロシアロシヤは、東ヨーロッパ地名、またそれに由来する名称である。

概要

現代日本語では区別されないが、従来は以下の2通りの用法があった。

  1. ロシアローシアΡωσία
    ルーシРусь)のギリシア語名。ラテン語名のルテニアと対比される。
  2. ロシヤロシーヤРоссия
    ロシアロシア語名。

1の用法は、元来ルーシを意味するビザンツ帝国側の呼称である。あくまでギリシア語名であり、ロシア語名ではない(ロシア語ではРусьРоссияは別の単語)。時代が下るに従い、それまでのモスクワ国家がギリシア語を自称として用いて「ロシア」を名乗るようになり、それがロシア語化してРоссия(ロシーヤ)となった。また、西欧の文献では旧来しばしば北東ルーシを指してギリシア語名から「ロシア」と表記する習慣があった。

2の用法は、1から派生した単語でいわゆるモスクワ系ロシア国家を意味している。具体的には、ロシア・ツァーリ国以降の、ロシア語でРоссияを称した国に対して用いられる。例えば、ロシア帝国ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国ロシア連邦などである。1の場合と同様、ロシア語ではРоссияРусьと呼ぶことはない(雅語としての用法はある)。

日本語では、「ア」と「ヤ」の使い分けは元来厳密ではなく両方の用法が混同されがちであったが、一応は「古代ロシア」という場合はキエフ・ルーシ中世以前で「ロシア」ないし「中世ロシア」という場合には中世ルーシ、モスクワ大公国を指して「ロシア」という場合には1の用法を想定しており、モスクワ国家の後半期(君主がツァーリ称号を用いだした頃以降)から現代に至るまでで「ロシア」という場合に2の意味のロシア、という使い分けは念頭にあった。つまり、1については漠然とルーシの領域について述べたり、キエフ・ルーシについて述べる場合に用い、2については中央集権化が進んで近代ロシア国家の枠組みが形成されていく過程を念頭に用いられた。モスクワ系国家については、従来より便宜的に「ロシア(ロシヤ)」と書くことがあった。

それが、近年なって「イタリヤ」、「チュニジヤ」などと併せて「ロシヤ」の語尾も「ア」で表記が一本化されたため、1と2の意味、用法の違いは文字上から完全に消されてしまい、区別ができないようになった。「ア」と「ヤ」の使い分けが曖昧であったため以前から2の意味でも「ロシア」と書かれることは珍しくなかったとはいうものの、ソビエト連邦の崩壊でかつてのルーシ国家が完全に分裂独立したこともあり、かつてのルーシ国家を一括して「ロシア」と表記することに支障が出るようになった。そのため、中世以前のルーシについては「ロシア」とは書かずに「ルーシ」と書くようになった。

国家

ロシアの名称を持つ国家には以下のようなものがある。ただし、変革期や内戦期に数多く見られた一時的な国家は除く。

また、ルーシのギリシア語化した名称が「ロシア」であったことから、日本語文献ではかつてのルーシもロシアと翻訳されることがある。従って、以下のようなものもロシアと便宜上書かれることがある。また、一般に現在のロシアや以前のロシア帝国・ソ連、ルーシの地に存在した国家や勢力についても「ロシア」と書かれることがある。

この内、中世時代のルーシ国家は歴史的なロシアと相当しないことや、ルーシについては今日ロシアとは別の国家になっているウクライナベラルーシも含むことなどから、「ロシア」と翻訳するのは適切ではないが、近代以降のロシア帝国やその後身のソ連がルーシの大半もしくはほぼ全てを支配下に置き、また自身をルーシの後継国と位置付けていたことから、「ロシア」と表される場合も多い(逆に、そうしたロシアによる支配を否定的に捉える場合は「ロシア」の表現は避けられることになる)。ソ連についても国内に「ロシア共和国」とロシアではない諸共和国が存在していたことから厳密には不適切であるが、前身がロシア帝国であり継承国もロシア連邦であることから、慣用的に「ロシア」と表され、特に欧米の文献では「ロシア」と表現する場合が多い。

帝国時代の概念

  • ロシア帝国は、周辺諸国・地域を併合するために、それらの地域を「ロシア」の一部であるという概念を考案した。かつての方角に基づく色で分けたルーシの概念と無関係ではないが、意味するところは一致しない。

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