ロイターの復活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 09:20 UTC 版)
一方ロイターは、深刻な経営難に陥っていた。売上高は最大手APの5分の1と大きく水をあけられ、存続すら危うい状況であった。このような中、1963年に急死した前社長を継いだジェラルド・ロング (Gerald Long) の指揮の下、ロイターは社の建て直しを図る。起死回生の切り札は、同社初のコンピュータによる経済情報通信サービス「ストックマスター (Stockmaster) 」であった。 「株の達人」の名の通り、「ストックマスター」は証券取引を生業とする者に向けて開発された製品であった。「ストックマスター」の成功によりロイターは劇的な復活を遂げ、金融情報サービス企業として大きく舵を切る。主たる顧客は新聞社ではなく、端末の画面を凝視するディーラーとなった。 ロイターが開発したこのシステムは、改良によって利便性を増した。「ストックマスター」では、顧客は端末に送られた経済情報を元に取引の方針を決め、電話で売買の注文をしていた。新サービスでは、端末に「売り」または「買い」と入力することで決済が完了するようにした。コンピュータ上で全ての取引が完結する、仮想市場が現出したのである。 1981年、グレン・レンフルー (Glen Renfrew) がロングを継いでロイターの社長に就任した。レンフルーは1984年、ロンドン証券取引所及びNASDAQへのロイター株上場を果たす。同社の株価は急上昇し、社は大いに潤った。以後ロイターは、世界最大の電子証券会社「インスティネット (Instinet) 」を始めとする企業との合併を繰り返して規模を拡大した。
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