ルター派教会とエキュメニカル運動
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「ルーテル教会」の記事における「ルター派教会とエキュメニカル運動」の解説
1947年、スウェーデンのルンドでルター派世界連盟が組織されて、多くのルター派教会(ルーテル教会)が加盟した。この連盟は、世界のルター派の友好、協力、エキュメニカル運動への参加を目的として活動している(世界的共同体であり、79ヶ国、145の加盟教会、約7千万人のキリスト者を擁している)。ただし、ルター派世界連盟は狭い意味での教派ではなく、改革派教会の組織に並行加盟しているルター派系合同教会の加盟も認めている。ルターによる宗教改革の遺産を継承する全ての教会に門戸を広げているのがルター派世界連盟である。2009年には、宗教改革の口火を切った都市ヴィッテンベルクにも出先機関が置かれた。しかし、独立福音ルター派教会(ドイツの自由教会)や米国のルター派教会ミズーリシノッド、ルター派教会ウィスコンシン・シノッドのような保守的な古ルター派教会は、この連盟のリベラルな神学やエキュメニカル運動への積極的関与を批判して、加盟していない。 ルター派世界連盟とカトリック教会は1999年10月31日に「義認の教理に関する共同宣言(Joint Declaration on the Doctrine of Justification)」に調印し、カトリック教会も信仰によって福音を理解することを公式に宣言した。この宣言では、トリエント公会議による信仰義認主張者への断罪はルター派教会(ルーテル教会)に適用されず、またルターによる信仰義認否定者への断罪はカトリック教会に適用されないと定めた。この共同宣言の支持者たちは、このことをもってカトリック教会が信仰義認の教理をルター派に適用したとみなしているが、ルター派教会ミズーリシノッド、ルター派教会ウィスコンシン・シノッド、福音ルター派自由教会 (ELFK)のような保守的な古ルター派はそのような解釈を拒んでいる。また、調印される前年の1988年、テュービンゲン大学福音主義神学部教授のエーバーハルト・ユンゲルを代表にして160人の福音主義神学者たちがこの共同宣言に反対を表明した。宗教改革の源流であり、神学研究の中心地ドイツのルター派から強い批判を受けながらもこの共同宣言は強引に進められた。 北欧を中心にヨーロッパの一部のルター派教会は使徒継承性を主張しており、同じく使徒継承を主張するヨーロッパのアングリカン・コミュニオン(聖公会)所属教会らと、1994年フィンランドのポルヴォーで合意文書に調印した。この合意文書に調印した教会をポルヴォー・コミュニオンといい、これらの教会は相互にフルコミュニオンの関係にある。
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