リアルタイムレイトレーシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 16:33 UTC 版)
「レイトレーシング」の記事における「リアルタイムレイトレーシング」の解説
レイトレーシングによる物理学的に正確で現実に即した光のシミュレーションには膨大な計算が必要となるため、長らく技術デモやプロダクションレンダリング(映画やCMなど)でのみ使用されてきた。特に実時間(リアルタイム)での描画が必要なシミュレーションやコンピュータゲームでは、時間的・資源的な制約から、光源と可視ポリゴン(あるいは3次元空間のポリゴンを2次元空間にラスタライズした後のピクセル)との1対1の位置関係のみを考慮したベクトル計算と塗りつぶしだけで簡易的かつ高速に描画できるラスタライズ法が採用されることが普通であったが、ハードウェアの高性能化に伴いリアルタイムレンダリングでもレイトレーシングを活用する道が開けつつある。 2020年現在、GPUベースのリアルタイムレイトレーシングを実現しているAPI(ライブラリ、レンダリングエンジン)としては、NVIDIA OptiX(英語版) 、イマジネーションテクノロジーズ(英語版)のOpenRL(英語版) 、DirectX Raytracing(英語版) (DXR)、Vulkan Ray Tracing、そしてMetal Ray Tracingが挙げられる。GPUによるリアルタイムレイトレーシングは、GPUがプログラマブルシェーダーに対応し、さらに汎用計算 (GPGPU) に対応するよう進化してきたおかげで可能となった。NVIDIA OptiXはAdobe After Effects CCやBlenderのCyclesエンジンなどに採用されている。Vulkanにおけるレイトレーシングは当初NVIDIAの拡張として実装されていたが、その後Khronosによって標準拡張として採用されており、DXRとよく似た設計になっている。NVIDIA GeForce RTX 20シリーズは、リアルタイムレイトレーシングのハードウェアアクセラレーションに対応したRTコアを初めて搭載したGPUである。ハイエンドのAAAゲームタイトルではすでにDXRの活用が始まっている。 また、CPUベースのリアルタイムレイトレーシングを実現しているソフトウェアとしてはKeyShot が挙げられる。
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