ラーオ語と標準タイ語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 17:25 UTC 版)
先述したように、ラーオ語と標準タイ語(以下タイ語としたところは標準タイ語を指す)は類似しているが、生活に即した語彙での違いが見られる。たとえば、「田を耕す」という表現をラーオ語では「ヘット (het)(行う)・ナー(田)」と表現するのに対し、タイ語では「タム (tʰam)(作る)・ナー」と表現する。このような場合でも、ラオスでは特にヴィエンチャン付近を中心にタイ語のテレビを見ることができ、またタイでもイーサーン語による演歌、モーラムが全国各地で流れているため、このような単語の違いは実際の会話では些細な違いとして気にされずに済むことが多い。 また、ある語彙が全く別のものを指すという現象もたまに見られる。たとえば「パーアナーマイ」という言葉はそのまま訳せば「衛生布」となり、ラオスでは「トイレット・ペーパー」を意味するが、タイでは「生理用おむつ」を意味する。これは、日本語における「手紙」の言葉が中国語では「トイレット・ペーパー」を意味するのとよく似ている。ちなみにイーサーン語においては、この「パーアナーマイ」という言葉はタイ語の影響を受けて「生理用ナプキン」の意味の方が一般的である。 さらに、外来語の受容にも違いが見られる。タイでは義務教育に英語を導入していたが、ラオスがフランス領インドシナに含まれていた関係からラーオ語の外来語には、タイ語より多くのフランス語の単語が含まれる。たとえば「アイスクリーム」は、タイ語では英語の外来語を用いて「アイサクリーㇺ [ai s kriim](口語ではアイティム [ai tim])」と言われるが、ラーオ語ではフランス語の「クレーム」を借用して「カレーㇺ」という言い方がされる。 逆に、ラーオ語とタイ語のサンスクリット=パーリ語からの借用語や古典的な単語は、双方似ていることが多い。
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