ヨーロッパのインダストリアル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 08:52 UTC 版)
「インダストリアル」の記事における「ヨーロッパのインダストリアル」の解説
ヨーロッパにおけるインダストリアルは、後続のミュージシャンによってノイズミュージックの一ジャンルとして醸成された結果、アンダーグラウンドでの動きに留まっているが、スロッビング・グリッスルからの系統を受け継ぐ音楽性を保っている。ただし、これらに対しても「インダストリアル・ノイズ」と定義し区別するリスナーもいる。特に有名だったのはドイツのアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンである。インダストリアル・ノイズとして分類されるグループとしては、ジェノサイド・オーガン(Genocide Organ)やその派生グループであるアネンゼファリア(Anenzepalia)、レ・ジョヤ・デ・ラ・プリンセス(Les Joyaux De La Princesse)などが代表格として挙げられる。 その一方で、スロッビング・グリッスルが有していた電子音楽としての一面にクローズアップし、エレクトロニック・ボディ・ミュージックなどエレクトロニックミュージックやダンスミュージックとの融合を図ったミュージシャンも数多くいる(エレクトリック・ボディ・ミュージックの項も参照のこと)。そのため1990年代以降のヨーロッパにおける「インダストリアル」の定義は「ノイズやサンプリングを多く取り入れたエレクトロ/ダンスミュージック」とされていると言っても過言ではなかったが、日本のみならず欧米でも「アメリカ型インダストリアル」であるナイン・インチ・ネイルズなどの成功により混乱をきたしている部分もある。スキニー・パピー(Skinny Pappy)やフロント・ライン・アッセンブリー(Front Line Assembly)、1990年代以降のエスプレンドー・ジオメトリコやライバッハの近年の作品、コンヴァーター(Converter)などに代表されるアント・ゼン(Ant-Zen)レーベルのグループも代表的なものとして挙げられる。 また、PIGことレイモンド・ワッツ(Raymond Watts)やKMFDM、クロウフィンガーのようにヨーロッパ出身者でありながらアメリカ型のインダストリアルの方向性をもったアーティストも多く存在し、ディ・クルップス(Die Krupps)はアメリカ進出を境にヨーロッパ型インダストリアルからインダストリアル・ロックへと作風を変化させた。キリング・ジョークもアルバム『パンデモニウム』(Pandemonium)でアメリカ型のインダストリアルを独自解釈した楽曲を発表している。 東欧、元共産圏においては、もともと電子音楽が盛んだったこともあり、スロッビング・グリッスルの影響を受けない形でのインダストリアル・ミュージックを展開したミュージシャンも数多く存在した。特にユーゴスラビアにおいてはスロベニアのライバッハやボルゲシア(Borghesia)、セルビアのP.P.Nikt、クロアチアのサト・ストイツィズモなど、西側諸国のインダストリアルとはまた違った特徴をもったグループや個人が作品を残している。
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