モデルをめぐって
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 05:35 UTC 版)
初演当初からこの作品に出てくる人物たちについて、誰をモデルにしているのかという様々な憶測をたてられた。特に近年にいたるまでタイトルのエレーヌのモデルではないかと噂された女性に、ナポレオン3世の皇后ウジェニーがいる。第二帝政を代表する美女としてその名をはせた皇后は、スペイン出身ということもあって、マリー・アントワネットが「オーストリア女」とフランスの国民から憎まれたように、オッフェンバックがこの作品を作曲した頃には「スペイン女」と呼ばれて、国民の人気が無かった。そのため、ありとあらゆる悪意のある噂を流されていた。その中の1つが不倫をしているという噂であった。この噂は皇后の敵達によって散々吹聴されたものであったが、実際のところはまったくの事実無根であることが、現在では証明されている。夫ナポレオン3世は無類の女好きとしてヨーロッパ中で有名であったが、皇后のほうは信心深く、夫婦間の貞操を固く信じる女性であった。このことからも、近年の研究ではエレーヌのモデルは特定の個人ではなく、結婚はしたものの、政略結婚や家同士の釣り合いを考えたものであるが故に愛情はほとんどなく、夫婦それぞれ勝手気ままに愛人を作っていた、当時の上流社会の人々であるという説が一般的である。
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