モデルをめぐる論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 18:25 UTC 版)
「自画像 (レオナルド・ダ・ヴィンチ)」の記事における「モデルをめぐる論争」の解説
ラファエロが『アテナイの学堂』にレオナルドをモデルにして描いたプラトン。 ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』の口絵になっているレオナルドの木版肖像。 このドローイングがレオナルドの自画像だとされたのは19世紀になってからで、この説の根拠は二つあった。一つ目はラファエロの『アテナイの学堂』に描かれている、レオナルドをモデルにしたプラトンの肖像画がこのドローイングの人物に似ていること、二つ目はこのドローイングが、確実にレオナルドの手による他のドローイングと同様に、極めて高い品質を持っていたことである。また、マニエリスム期のイタリア人画家、美術史家ジョルジョ・ヴァザーリの著書『画家・彫刻家・建築家列伝』(第二版)の口絵になっているレオナルドの木版肖像が、このドローイングの人物に似ていることも傍証とされた。ドイツ人美術史家フランク・ツェルナー (en:Frank Zöllner) は「この赤チョークで描かれたドローイングは、レオナルドの外貌を現代に伝える作品だと広く認められ、さらに長きにわたって唯一のレオナルドの肖像画だと見なされてきた」としている。 一方で、このドローイングがレオナルドの自画像であるとされていることに対する異説もある。ロバート・ペイン (en:Robert Payne)、マーティン・ケンプ (en:Martin Kemp)、ピエトロ・マラーニ、カルロ・ペドレッティ (en:Carlo Pedretti)、ラリー・J・ファインバーグ ら、多くのルネサンス期の専門家たちが、このドローイングがレオナルドの自画像であるという説に疑義を呈している。 20世紀末の研究では、このドローイングに描かれている人物は、67歳で死去したレオナルドよりも年長に見えることと、さらに伝承ではこのドローイングをレオナルドが描いたのが58歳から60歳ごろといわれることが指摘されている。このため、描かれている人物は、どちらも80歳の長命を保ったレオナルドの父ピエロか、叔父のフランチェスコではないかという可能性が示唆されている。
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