メソメリー効果とは? わかりやすく解説

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メソメリー効果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/17 09:21 UTC 版)

エーテル中のメトキシ基の+M効果
アクロレイン中のカルボニル基の−M効果

化学におけるメソメリー効果(メソメリーこうか、: mesomeric effect)あるいは共鳴効果は、化合物中の置換基あるいは官能基の性質である。メソメリー効果は定性的に用いられ、関連の共鳴構造に基づいて置換基の電子求引性あるいは電子供与性を説明する。頭文字からM効果と呼ばれる。置換基が電子求引性基の時にはメソメリー効果は負(−M)となり、電子供与性の時には正(+M)となる。

置換基からあるいは置換基への電子の流れは誘起効果によっても決定される。p-軌道の重なり(共鳴)の結果としてのメソメリー効果はこの誘起効果には全く影響しない。これは誘起効果が純粋に原子の電気陰性度と分子のトポロジー(どの原子がどの原子と結合しているか)に関係しているためである。

メソメリー効果やメソメリズムメソマーの概念は、1938年にインゴールドによって同義的なライナス・ポーリングの共鳴の概念の代替として導入された[1]。この文脈における「メソメリズム」はドイツ語およびフランス語の文献で多く使われているが、英語の文献では「共鳴」という用語が支配的である。

共役系におけるメソメリズム

メソメリー効果は共役系におけるいくつの炭素原子に沿っても伝達される。これが、電荷の非局在化による分子の共鳴安定化の主な原因である。分子の実際の構造、すなわち共鳴混成体のエネルギーはどの共鳴構造のエネルギーよりも低い。実際の構造と最も安定な共鳴構造との間のエネルギー差は共鳴エネルギーあるいは共鳴安定化エネルギーと呼ばれる。

脚注

  1. ^ Kerber, Robert C. (2006-02-01). “If It's Resonance, What Is Resonating?”. J. Chem. Educ. 83 (2): 223. doi:10.1021/ed083p223. http://www.jce.divched.org/Journal/Issues/2006/Feb/abs223.html. 

外部リンク

  • IUPAC, Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book") (1997). オンライン版:  (2006-) "mesomeric effect".

メソメリー効果

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/11 07:32 UTC 版)

有機電子論」の記事における「メソメリー効果」の解説

詳細は「メソメリー効果」を参照 有機反応論においてカルボニル化合物などに存在する想定され分極生じ機構を、クリストファー・ケルク・インゴルドはメソメリー効果(M効果、mesomeric effect)と呼んだ。すなわち、カルボニル二重結合立ち上がりカルボニル炭素正にカルボニル酸素が負に分極する機構呼称である。なお、共役カルボニル化合物などでメソメリー効果というべきところを有機反応論の後に発展した量子化学分野原子価結合法概念である「共鳴効果」と呼称することがあるが、有機反応論には「共鳴」概念無く正し用語の使用方法ではない。一方インゴルドのメソメリー効果に先立ってロビンソン互変異性機構類似した電子対移動分極転移する機構示唆しており、その機構エレクトロメトリーあるいは及ぼす効果に対してエレクトロメトリー効果E効果)という呼称与えている。 誘起効果はβ位、すなわち共有結合した原子2つ以上を介した場合はほとんどその影響がなくなるのに対して共役した二重結合系のメソメリー効果はより広い間隔があっても効果作用現す。メソメリー効果の例としてアニリンとp-トルイジン塩基性違い挙げられる。p-位に置換したメチル基からの電子供与性を示し、それがM効果により、窒素原子上の電子密度増やし塩基性増大した説明することができる。

※この「メソメリー効果」の解説は、「有機電子論」の解説の一部です。
「メソメリー効果」を含む「有機電子論」の記事については、「有機電子論」の概要を参照ください。

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