マグナ・グラエキアのギリシア語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 15:20 UTC 版)
「マグナ・グラエキア」の記事における「マグナ・グラエキアのギリシア語」の解説
南イタリアに住むギリシア人たちは次第にイタリア化し、ギリシア語を話さなくなったが(例えば、パエストゥムを築いたギリシア人住民は紀元前4世紀にはすでにラテン化していた)、カラブリア地方やプッリャ地方(特にサレント半島)にはグリコ語(ギリシア語)話者の共同体が残った。「グリコ」(Grikó)はマグナ・グラエキア地方の人々が話すギリシャ語方言で、ヘレニズム時代に地中海全域に広がった古代の共通ギリシア語(コイネー)に近いが古代ギリシア語のドーリア方言の要素も残しており、中世のギリシャ語、イタリア語などの要素が交じり合った言語である。 11世紀の記録(東ローマのイタリア支配の末期)では、マグナ・グラエキアではギリシア語が主流だったとされる。かつては南イタリアの広範囲で話されており話者も多かったグリコ語も、近代に入り次第にイタリア語に押されて話される範囲が縮小し、一部のコムーネに話者の共同体が残るのみとなってしまった。グリコ語の要素の中には、南イタリアのロマンス諸語(例えばシチリア語、タラント語、ナポリ語)などに吸収されて残っているものもある。 21世紀の今日でも、3万人ほどのギリシア語(グリコ)話者がカラブリア州とプッリャ州に住んでおり、民族的・言語的マイノリティとなっている。プッリャ州のサレント半島内にあるグレチア・サレンティーナと呼ばれる一帯では、その言語や音楽をはじめとする伝統を守る活動も近年盛んに行われており、ギリシャ本土との交流も活発に行われている。
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