ポップアートの受容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:53 UTC 版)
その後、1960年代に入りアメリカのポップアートの代表格ともいえるロイ・リキテンスタインと、商業デザイナーだったアンディ・ウォーホルの二人が、コミックスの拡大模写によって世に出た。大量に印刷され、絵柄も似たり寄ったりの漫画は、既製のイメージの中でも最もキッチュで悪趣味なものではあるが、単純で力強い線などが魅力的であり「グッド・デザイン」を粉砕する威力があった。アンディ・ウォーホルはその後キャンベル・スープの缶、ブリロ(洗剤)の箱、マリリン・モンローなど女優や有名人の写真などいたるところにあるイメージを用いた版画を大量生産した。1961年に渡米していたローレンス・アロウェイがアメリカに「ポップアート」という言葉を紹介し、これらの傾向の呼び名になった。 ポップアートは映画や漫画などの大衆文化同様、観客の心を一瞬で掴む強い魅力的なイメージを持っているのでわかりやすく、しかもアメリカの大量生産品や大衆文化をテーマにしているため、アメリカの豊かさを賛美する魅力的な芸術として歓迎された。逆にここからアメリカの大量生産品や大衆文化の悪趣味さや、商品を大量に消費し豊かになってもなお逃げられない死の影を見出す者もいた。 ウォーホルとリキテンスタインらポップアートの作家たちは、カウンターカルチャーの時代における大衆絵画作家としても成功した。大衆文化の多くはマーケティングにより顧客を調査し、大量に販売し使い捨てられることが常だったが、大衆(特に若者)の側も工業製品的な音楽やイラストばかりでなく、多少いびつでもアーティストと呼べる者が作った個性的な作品による知的刺激や現状への異議申し立てを求めていた。ポップアートも、商品やメディアに囲まれて育った世代の若者の原風景であるスターや商品を魅力的に描いて若者に刺激を与え、その版画作品は熱狂的に受け入れられた。
※この「ポップアートの受容」の解説は、「ポップアート」の解説の一部です。
「ポップアートの受容」を含む「ポップアート」の記事については、「ポップアート」の概要を参照ください。
- ポップアートの受容のページへのリンク