ヘンリー・モーガン(バッカニア)の掟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 03:27 UTC 版)
「海賊の掟」の記事における「ヘンリー・モーガン(バッカニア)の掟」の解説
アレクサンドル・エスケメラン(英語版)は、17世紀後半のバッカニア(後のカリブの海賊の前身となる、17世紀にカリブ海で活動していた海賊の総称)の掟について説明体で明らかにしている。特定の船長の名は挙げられていないが、エスケメランはヘンリー・モーガンの船の船医として活動していた経歴があるため、広くバッカニアの掟というよりは、モーガンの船の掟という面が強いと考えられる。 エスケメランは、バッカニアでは「掟は、一人一人が守るべき義務であり、書面によって条項に同意し、それらすべて船長(chief)が管理している」と述べている。彼は条項に番号をつけてはいないが、以下はほぼ彼によるバッカニアの掟の説明を反映している。 掟に基づくすべての分け前は、他の海賊と同じ掟に従って遠征によって得られた戦利品としている。獲物なければ報酬なし(No prey, no pay)。 船の使用料、修理や手入れ、大工の手間賃などはその船の船長への報酬として支給される(約150銀貨)。引当金と戦利額が合算され、通常は200銀貨を決定額とする。船医とその薬箱にも給与と報酬が規定されており、通常は250銀貨である。 バッカニアでは身体の損壊を含む重傷にも規定の補償額が存在する。「右腕の喪失には600銀貨もしくは奴隷6人。左腕の喪失には500銀貨もしくは奴隷5人。右足は500銀貨もしくは奴隷5人。左足は400銀貨もしくは奴隷4人。片目の負傷は100銀貨もしくは奴隷1人。指の欠損は目と同じ規定が適用される」 戦利品の分け前は次のように与えられる。「船長または最高司令官は、一般船員の5,6人分が割り当てられる。航海長は2人分。上級船員は働きぶりに応じる。その後、階級に関係なく船員で等分にして分配し、これは少年であっても省かれることはない。というのも自船よりも良い船を見つけた時は、今乗っている船や小船に火を放ち、拿捕した船に戻るのが少年たちの仕事であり、これゆえこの者たちは通常の分け前の2分の1はもらう権利がある」 「拿捕した船において戦利品をくすねることは、一人一人に厳しく禁じられている。そう、彼らは互いに厳格な誓いを行い、逃亡したり、めぼしい獲物を隠したりしないようにしている。もし、誓いに反した行為が発覚した場合には、すぐに追放されてしまう」
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