プルトニウム抽出による核兵器製造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 22:49 UTC 版)
「使用済み核燃料」の記事における「プルトニウム抽出による核兵器製造」の解説
一般に、低濃縮ウランからなる核燃料を原子炉で「燃焼」させると、ウラン238が中性子を吸収することでプルトニウムが生成される。再処理はそのプルトニウムを抽出する処理であることから、使用済み核燃料と再処理工場を保有することは、核兵器の原料であるプルトニウムを得ることができることを意味する。 ただし、プルトニウムと一口に言っても、その同位体組成の違いが爆弾としての性能に影響する。核兵器に使用されるプルトニウムはウラン238から生成されるプルトニウム239である。核燃料の燃焼を続けると、さらに中性子を吸収して、自発核分裂により不完全核爆発の原因となりやすいプルトニウム240などに変化する。したがって、軍事用プルトニウム生産原子炉では、なるべくプルトニウム239の純度が高くなるように短期間で再処理にまわす。一方で、発電用原子炉では高出力を目的とするためプルトニウム239が他の同位体に変化する割合が高くなる。 そのため、原子力発電所の使用済み核燃料から分離したプルトニウムは原子爆弾に使用することができないということが主張されることがある。 しかしながら、プルトニウム240の割合の増加は爆弾の設計や作業工程を複雑にすることはあっても、不可能にする要因ではなく、実際に、使用済み核燃料から抽出した金属プルトニウムが8kgあれば臨界を起こすと言われる。 ウラン原爆は経年劣化がなく取り扱いやすい優秀な兵器が作れる半面、ウラン濃縮に大変な電力と時間が必要されるため、核兵器を大量に作るには不向きである。そのため、5大国の核兵器は実験用を除くほとんどすべてがプルトニウム爆弾であり、北朝鮮も黒鉛炉で兵器級プルトニウムを生産している。
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