フラッパーがアメリカ社会にもたらした変革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/14 16:15 UTC 版)
「フラッパー」の記事における「フラッパーがアメリカ社会にもたらした変革」の解説
フラッパーに続いて、息苦しいほどに身体を締め付けるドレスや紐から解放された女性たちは、家から出て自由に外を歩き回ることができるようになり、この機会を十分に楽しむようになった。フラッパーはアメリカの女性たちの生活スタイルを、衣服の面から大きく変革したのである。 ファッションの変化は、アメリカ人女性が理想とする概念の大きな変革を意味するといってもいい。ショートスカートやショートヘアは、女性の伝統的な社会的束縛からの解放の象徴でもあった。女性の道徳的概念の変化は、婚前交渉、避妊、飲酒といった伝統的価値観の軽視となって表れた。第一次世界大戦以前には女性が酒場に足を踏み入れることはなかったが、戦後になると駅に出入りするかのように、気軽にもぐり酒場に出入りする女性が表れだしたのである。人前で毒づいたり煙草を吸ったりする女性が普通に見られるようになり、スカートも下着もどんどん短くなっていった。仕事場では女性と男性が張り合うようになり、経済的に自立した女性は金銭面以外でも男性に頼る必要がなくなった。 このような新しいタイプの女性たちは性別の垣根を越え始め、性的にも経済的にも自由を謳歌し始めた。女性たちは髪を切り、ゆったりとした服装に着替え、ひざ丈のドレスを身にまとった。窮屈な腰周りや、裾を引きずるような長いドレスに悩まされることもなくなった1920年代の現代女性は自立的な思考の持ち主であり、それまでの因習から解放されたのである。フラッパーはこのような現代女性の中心的立場にあり、その役割は狂騒の20年代を通じて変わることはなかった。フラッパーは、強い個性、行動力、さらには移り気を理想とし、女性の慎ましさ、純潔、貞淑など、それまで男女ともに重要視していた伝統的道徳律を無視した。自身が持つ力を誇示していたフラッパーだったが、直後に起こったウォール街大暴落、世界恐慌の影響を免れることはできなかった。フラッパーの大胆な享楽主義は、1930年代の経済苦境のなかでは受け入れがたいものだったのである。
※この「フラッパーがアメリカ社会にもたらした変革」の解説は、「フラッパー」の解説の一部です。
「フラッパーがアメリカ社会にもたらした変革」を含む「フラッパー」の記事については、「フラッパー」の概要を参照ください。
- フラッパーがアメリカ社会にもたらした変革のページへのリンク