フェルミ研究所での実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 07:24 UTC 版)
「ミューオンg-2実験」の記事における「フェルミ研究所での実験」の解説
フェルミ研究所は、ブルックヘブン研究所で行われたミュー粒子の異常磁気モーメントを測定する実験を継続している。ブルックヘブンでの実験は2001年に終了したが、その10年後にブルックヘブンで使用していた装置をフェルミ研究所が入手した。より正確な測定(より小さなσ)を行うことで、矛盾を解消するか、標準模型を超える物理の実験的に観測可能な例として確認することを目指している。 2015年9月に磁石を改修して電源を入れたところ、移転前と同じ1.3ppmの基本磁場の均一性が確認された。 2016年10月に、磁石を再構築し、慎重にシムを調整することで、均一性の高い磁場が得られるようになった。フェルミ研究所での新たな取り組みにより、全体の均一性が3倍に向上しており、これはより高い精度を目標とした新しい測定に重要な意味を持つ。 2017年4月、共同研究者たちは、検出器システムを較正するために、陽子を使った最初の本番運転に向けて実験の準備を行った。2017年5月31日に本番運転が開始され、フェルミ研究所に移設されてから初めて、磁石にミュー粒子のビームが当たった。データ収集は2020年まで行う予定としていた。 2021年4月7日に実験結果が発表された。その結果は、 aµ = 6997116592039999999♠116592040(54)×10−11 だった。ミューオンg-2実験チームが発表した、新たな世界平均は、g因子: 7000200233184122000♠2.00233184122(82)、異常磁気モーメント: 6997116592061000000♠0.00116592061(41) である。フェルミ研究所とブルックヘブン研究所の結果を組み合わせると、理論値との差は4.2σとなり、素粒子物理学において要求される5σには少し及ばないものの、新しい物理学の有力な証拠となるものである。今回の結果が統計的な変動である可能性は4万分の1程度である。
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