フェニキア文字および同系の文字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/08 16:04 UTC 版)
「頭音法」の記事における「フェニキア文字および同系の文字」の解説
フェニキア文字の文字名称は不明だが、同系の文字体系であるヘブライ文字、シリア文字、ギリシア文字などでよく似た文字名称が使われていることから、フェニキア文字でも同様の文字名が使われていたと考えられる。 フェニキア文字の文字名称のうちには、実際にその文字の起源を表すと解釈できるものもある。たとえばヘブライ文字の最初の文字アレフは牡牛の意味と解釈され(ヘブライ語 אֶלֶף elef < *ʾalp)、その字形(𐤀 )は実際に角のはえた牛の頭を想起させる。しかしフェニキア文字の名称が、文字が作られたときからあったという証拠は何も存在しない。 フェニキア文字などのセム語の音素文字の起源として、いわゆる原シナイ文字を根拠として、エジプトのヒエログリフを知るセム語話者が、ヒエログリフによって表される物にあたるセム語の語彙をもとに、頭音の原則によって子音を表す文字として使用したという説がある。しかし、原シナイ文字は資料が少なく、その解読が疑わしいために、この説をそのまま採用するわけにはいかない。 アラビア文字の文字名の大部分は簡易化されている。たとえば「ب バー」、「ت ター」、「ح ハー」などは子音の後に母音 ā を加えただけである。ただし一部の文字に伝統的な文字名を引きついでいる。 ゲエズ文字の文字名称はヘブライ文字と一致していたり異なっていたりする奇妙なものだが、この名称はヨーロッパのルネサンス時代以前にさかのぼらず、ダニエルズはヨーロッパの学者の意見に従ってエチオピアの聖職者が文字名を創造したものと考えている。
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