ヒントとなった実話とあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 08:12 UTC 版)
「空気のなくなる日」の記事における「ヒントとなった実話とあらすじ」の解説
1910年、ハレー彗星の接近が間近に迫った時、欧米各国ではこの世の終焉が訪れるという噂が飛び交い、パニックとなったといわれる。フランスの天文学者で作家のカミーユ・フラマリオンの説などを信じて、彗星がもたらす有毒なガスを防ぐためのマスクや携帯用酸素吸入器が売れたという。 日本では、同年5月19日の『大阪朝日新聞』が「フレンマリオン氏」の説として、「尾の内に含まれる水素が地球の空気中に存在する酸素と化合すれば、人類は皆窒息して死滅する」と報じた。 本作は、こうした流言飛語にもとづいて庶民たちがそれぞれに生き残るために工夫し、あるいはこれを利用して一儲けしようとする姿を描いた。 彗星が接近する「その年の七月二十八日」に5分間だけ「地球上から空気がなくなってしまうそうだという」「ばかばかしいうわさ」について、回顧調で語られている。この噂について、最初は、だれも信じなかったが、校長先生が県庁の役人もその噂を信じているらしいと言い出すと、学校や村中が大騒ぎになる。まず、子どもたちに5分間呼吸しない訓練をしようとする。しかし、それが不可能であるとわかると、自転車のチューブや氷ぶくろに空気をためておき、それを彗星の接近時の5分間に吸うという方法が見いだされた。しかし、多くの需要が集まり、一円二十銭だった氷ぶくろが何百倍にも高騰してしまい、貧乏な農家が多いこの村では、地主の子ども以外の生徒はだれひとりチューブや氷ぶくろを買えなかった。
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