バイコーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/26 16:11 UTC 版)

バイコーン(Bicorn)は、伝説上の動物[1]。二角獣(にかくじゅう) とも呼ばれる[2]。
二本角をした馬でユニコーンの亜種といわれる[2]。また、ユニコーンは純潔を司るのに対し、バイコーンは不純を司るとされる。
真横から見たために前頭部の二本の角が一本に見えた[3]アラビアオリックスは白い体と合わせて[4]ユニコーンのモデルになったとも言われ[5]、ギリシャの自然史は片方の角を失ったアラビアオリックスを見てユニコーン実在説を唱えたという説もあり[6]、 ある説ではユニコーンとはヘブライ語の「二角獣」の誤訳として欽定訳聖書に用いられたもので、このバイコーンこそがユニコーンの原型であるという[7]。
また、小説『ハリー・ポッターシリーズ』でハリーがポリジュース薬を作る時に使われたものは、二角獣の角の粉末である[2]。
中世ヨーロッパの伝説と民間伝承に登場するバイコーンは恐妻家を食べると言われ、当時は餌が多いと推測され太っていて人間の顔とむき出した歯を持つ女怪物という説もある[1]。 シシュファス伝説において、善良な男だけしか食べない怪物はビゴルヌ(bigorne)という名が付けられている[8]。この語は「bicorne」と同義語で[9]「二角ある、両角の、両端が尖っている,双尖のディレンマ、両角論、両刀論法」を意味し[10]「白い犬(chien blanc)」「蒼い獣(bête navette)」「悪魔憑きの牛(vache au diable)」「ピテルヌ(piterne)」「タランヌ(taranne)」「兎犬(levrette)」などの別名も持ち、子牛ほどの大きさの雌の犬で、火のような目をしているが、角を生やしているという説もある[11]。
対照的に貞淑な妻達を食べると言われるChichcvacheは ”lean cow”という意味だが、Chichevacheと綴るのは英語だけとも言われ、フランスの類似した伝承のChichefaceは「牛」ではなく「やせた牝狼」で2つの母音の間の[f]は[v]と発音されることから、英語では聞いた音を直接綴った可能性も指摘される[12]。 シシュファス(Chicheface)は2000年に1度、善良な女を食べて生きている怪物で、山羊の脚と雄鶏の脚が互い違いについている[8]。
脚注
- ^ a b 荒木正純 2007, p. 100.
- ^ a b c かみゆ歴史編集部 2021, p. 7.
- ^ 金光仁三郎 2007, p. 144.
- ^ アマナ, ネイチャー & サイエンス 2017.
- ^ 福岡市動植物園 2017, p. 11.
- ^ ニック・カルーソ & ダニー・ラバイオッティ 2019, p. 26.
- ^ 岡倉由三郎 1942, p. 2259.
- ^ a b 沖野文子, 小野左知子 & 折田洋晴 1999, p. 62.
- ^ 大武和三郎 1937, p. 180.
- ^ 大武和三郎 1937, p. 179.
- ^ 山北篤 & シブヤユウジ 2010, p. 146.
- ^ 宮島澄子 1998, p. 333.
参考文献
- 大武和三郎『葡和新辞典』海外興業、1937年、180頁。doi:10.11501/1705069。 NCID BN11627227。 OCLC 939048894。全国書誌番号: 49004963 。2022年12月28日閲覧。
- 岡倉由三郎『新英和大辞典』en:University of California Press、1942年、2259頁。doi:10.11501/1871067。 NCID BN05304573。 OCLC 674263512。全国書誌番号: 56004568 。2022年12月23日閲覧。
- 宮島澄子「3. グリセルダを食べる...(日本英文学会第70回大会報告)」『英文学研究』第75巻第2号、日本英文学会、1998年、333頁、doi:10.20759/elsjp.75.2_333_1、 ISSN 00393649、 NAID 110008158168、国立国会図書館書誌ID: 5582955、2022年12月23日閲覧。
- 沖野文子、小野左知子、折田洋晴「国立国会図書館所蔵複製インキュナブラ目録」『参考書誌研究』第51巻第5号、国立国会図書館、1999年、62頁、doi:10.11501/3051434、 ISSN 03853306、 NAID 40001480085、国立国会図書館書誌ID: 4879357、2022年12月25日閲覧。
- 荒木正純『知っておきたい天使・聖獣と悪魔・魔獣』西東社、2007年、100頁。 ISBN 9784791614899。 NCID BA83079001。 OCLC 675268921。全国書誌番号: 21254518 。2022年12月17日閲覧。
- 金光仁三郎『知っておきたい 伝説の英雄とモンスター』西東社、2007年、144頁。 ISBN 9784791614882。 NCID BA83372946。 OCLC 675270713。全国書誌番号: 21254521 。2022年12月21日閲覧。
- 山北篤、シブヤユウジ『幻想生物西洋編』新紀元社、2010年、146頁。 ISBN 9784775308233。 NCID BB03767554。 OCLC 743336834。全国書誌番号: 21833336 。2022年12月28日閲覧。
- 福岡市動植物園「アラビアオリックス サリームの ここに注目!」『動植物園だより』第118巻、福岡市緑のまちづくり協会、2017年、11頁、 OCLC 1137755309、全国書誌番号: 01051505、2022年12月21日閲覧。
- アマナ、ネイチャー、サイエンス『戦う動物大百科 : 最強獣王決定戦』西東社、2017年、97頁。 ISBN 9784791625949。 OCLC 982115338。全国書誌番号: 22865323 。2022年12月21日閲覧。
- ニック・カルーソ、ダニー・ラバイオッティ『動物学者による世界初の生き物屁事典 : ヘビってオナラするの?』パンローリング、2019年、26頁。 ISBN 9784775942079。 NCID BB28005941。 OCLC 1084501216。全国書誌番号: 23170282 。2022年12月21日閲覧。
- かみゆ歴史編集部『ゼロからわかる幻想生物事典』イースト・プレス、2021年、7頁。 ISBN 9784781672021。 NCID BC06593628。 OCLC 1249996551。全国書誌番号: 23517299 。2022年12月17日閲覧。
バイコーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 00:44 UTC 版)
馬型モンスター。ユニコーンと反対に非処女と非童貞を好み、処女を忌避する性質をもつ。性交経験がない異世界の女性達からは危険生物と見なされていたが、非処女となったルーミになつき、長距離移動の足として活躍する。また、非処女に害となる存在を排除しようとする性質があり、ミースではカルに包囲されたミサキを率先して救い、ヨータ一行の騎乗馬となる。
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