ハフィート遺跡群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 07:07 UTC 版)
「アル・アインの文化的遺跡群」の記事における「ハフィート遺跡群」の解説
ハフィート遺跡群 (Hafit Assemblage, ID1343-001は、アル・アインの南方に位置するハフィート山やその周辺に残る考古遺跡が主な対象である。なだらかな地形の多いUAEにあって例外的な場所のひとつであるハフィート山は標高1,240メートルで、上述の通り、文化期(ハフィート文化)および墓の様式(ハフィート式)の名前にもなった山である。一帯で発見された墳墓(積石塚)は、アラビア半島に現存する石の建造物では最古とも言われる。特にハフィート山砂漠公園にはハフィート期の墳墓が最も多く残されており、その数は122基にもなる。 ハフィート式積石塚は、円形に石を積み上げた墓で、家族と思われる複数人が葬られた多葬墓である。上の「歴史」節で述べたように、ハフィート期にはイランからの「植民」があったとも言われるが、それらの地域は単葬墓が一般的であり、多葬墓はオマーン半島土着の文化が継承されたものと考えられている。この多葬墓の伝統はハフィート式積石塚が変化した蜂の巣形墓、それが更に発展したウンム・アン=ナール式墳墓でも引き継がれる伝統となる。副葬品としては青銅や貝を加工した道具・装飾品のほか、メソポタミアのジェムデト・ナスル期の土器が出土しており、それが年代特定の鍵になったのは前述の通りである。 このグループの構成資産をまとめると以下の通りになるが、近現代の砦を除けばハフィート期の墳墓ばかりで、その時期の居住跡は含まれていない。ハフィート式墳墓を築いた人々の居住跡(の少なくとも一つ)は、後出のヒーリー遺跡群であったと考えられている。 ハフィート遺跡群 (ID1343-001)ID構成資産名日本語(仮訳)登録範囲 (ha)下段は緩衝地域 備考1343-001.1 Jebel Hafit Desert Park ハフィート山砂漠公園 3,828.52(5,909.92) サブ・コンポーネントには19世紀に遡るアル・アイン周辺で最大級の防衛施設、メズヤド砦(Mezyad Fort)が含まれる。他のサブ・コンポーネントは「メズヤドのファラジ」(Mezyad Falaj)、「メズヤドのハフィート期墳墓」(Hafit Tombs - Mezyad)、「新石器時代の遺跡」(Neolithic Surface Sites)、「ハフィート墳墓とネクロポリス」(Hafit Tombs-Necropolis)の4件である。 1343-001.2 Jebel Hafit North Tombs ハフィート山の北墳墓群 281.84(5,909.92) 砂漠公園以外のハフィート遺跡群の構成資産は、ハフィート山の主峰から北へ延びる尾根上に位置しており、1343-001.5のアル・ナクファの尾根はアル・アイン・オアシスのすぐ南である。 1343-001.3 Al Ain Wildlife Park Tombs アル・アイン野生公園の墳墓群 65.39(166.93) 1343-001.2の墳墓群よりも北に位置する。なお、ハフィート遺跡群の中でサブ・コンポーネントが挙げられているのは、ハフィート山砂漠公園のみである。 1343-001.4 West Ridge Hafit Tombs 西尾根のハフィート墳墓群 92.86(166.93) 1343-001.3の墳墓群の北、1343-001.5の遺跡群の南に位置する。 1343-001.5 Al Naqfa Ridge アル・ナクファの尾根 0.78(5,909.92) サブ・コンポーネントにはナクファ砦 (Naqfa Fort) の遺跡を含む。この砦は地域に現存する「最初期」の砦とも言われるが、研究が不十分のため、正確な年代特定には至っていない。
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