ネオ・ラマルキズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 16:26 UTC 版)
伝統的な総合説では、生物の進化は偶然に生じる突然変異に委ねられており、自然選択は有利な突然変異が生じなければ意味をなさない。このことに納得できない研究者が、生物自身が進化の方向を決めているはずだという説を出すことが再三あった。特に、長い期間の変化を追う古生物学者などにその例が多い。そのような考えをネオ・ラマルキズムと言う。 ネオラマルキズムは獲得形質の遺伝を進化の最も重要なメカニズムと見なし、ダーウィンを批判したイギリスの作家サミュエル・バトラーや、ドイツの生物学者エルンスト・ヘッケル、アメリカの古生物学者エドワード・コープらに支持された。獲得形質の遺伝はヘッケルの反復説の一部であった。ネオラマルキズムの批判者、例えばアルフレッド・ウォレスとアウグスト・ヴァイスマンは獲得形質の遺伝の強固な証拠が一度も提示されていないと指摘した。この批判にもかかわらず、獲得形質の遺伝は19世紀後半から20世紀序盤でもっとも人気のある説のままだった。 定向進化説を唱えたアイマーがこの代表である。彼は化石の記録を見て、生物に内在する力が原因で、適応的かどうかとは無関係に一定方向に進化が起こると主張した。今西錦司の進化論にもその傾向がある。 アウグスト・ヴァイスマンは、19世紀後半に生殖細胞と体細胞を分け、次世代に形質を遺伝させることができるのは生殖細胞だけで、体細胞が獲得した形質は遺伝しないと主張し、獲得形質の遺伝を唱えるネオ・ラマルキズムを批判した。また、分子遺伝学的知識からも、こうした説は否定されている。
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