ナガエノスギタケとは? わかりやすく解説

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ナガエノスギタケ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/09 21:24 UTC 版)

ナガエノスギタケ
Hebeloma radicosum
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
亜門 : ハラタケ亜門 Agaricomycotina
: ハラタケ綱 Agaricomycetes
亜綱 : ハラタケ亜綱 Agaricomycetidae
: ハラタケ目 Agaricales
: モエギタケ科 Strophariaceae
: ワカフサタケ属 Hebeloma
: ナガエノスギタケ H. radicosum
学名
Hebeloma radicosum (Bull.) Ricken (1911)[1]
シノニム

ほか

和名
ナガエノスギタケ(長柄杉茸)

ナガエノスギタケ(長柄杉茸[2]学名: Hebeloma radicosum)は、モグラのトイレの上に生えることで知られる中型から大型のキノコ菌類)で、白い。地方により、シロモミタケ、スネナガ(秋田県)、ダイミョウモタシのほか[2]、モグラノセッチンタケ[3]などの地方名でよばれている。

分布

日本ヨーロッパ[3][4]ブナ科カバノキ科ヤナギ科[5]などの広葉樹林の樹下のモグラの巣の中の古い便所跡[3]

形態

子実体からなる。傘の径は8 - 15センチメートル (cm) [3]。傘は初め円錐形で、のちに扁平形になる[2]。傘の表側は幼時のときは白色で、生長すると黄土褐色[2]や灰黄色[3]または淡粘土色となる[4]。中央部は色が濃く、帯褐色の繊維状鱗片におおわれる[2]か、または平滑で、成菌になると失われる[3]。粘性がある[4]

傘の裏側のヒダは柄に対して上生、密に配列し[2]、ヒダの色は淡黄色[3]か褐色[2]。ヒダの胞子は汚褐色[3]

柄の高さは8 - 15 cm[3][4]。柄の色は傘と同色[3]か白色[2]。膜質のツバをもち[4][3]、ツバより下は傘同様の鱗片をもつ[2]。ふくらんだ基部は急にほそまって根状となり深く地中に[4]10 cmほど伸び(この根状になって伸びた部分を偽根という)、地中のモグラ類の排泄跡に到達する[2][4]

はかたく締まり歯ごたえがあるほか、独特の臭いがする[2][4]。無味[3]

生態

秋に、ブナ科カバノキ科ヤナギ科の樹下に単生から群生する[2]。広葉樹林[3]の地中にある、モグラ類の巣付近の排泄所跡[2](古い便所跡[3]、モグラのトイレとも[6])に発生する。モグラは地中に巣をつくり、巣の周りの一定の場所をトイレとして使う。トイレの場所はときどき変わり[6]、使われなくなったトイレは、モグラの糞尿の分解によって生じる高濃度のアンモニアが発生し、このアルカリ性によって、土壌微生物相の攪乱がおき、これに乗じてナガエノスギタケが繁殖する。ナガエノスギタケは、アンモニア菌と呼ばれるキノコの一種で、動物の排泄物の分解痕に生える腐敗跡菌[7]である為、このような生活環をもつ[8]

利用

非常においしく、特に醤油味がいい。味噌汁炊き込みご飯酢の物煮込み雑煮鍋物天ぷらフライ佃煮茶碗蒸し塩焼きなど、主要な和食に合う。また、煮込みピクルスマリネグラタンピザオムレツホイル焼きなど、洋食に大いに合う。さらに中華スープ油炒め煮込むあんかけなどの、中華料理にも合う。お吸い物和え物ポタージュコンソメコロッケチャーハンギョーザシュウマイなどでも食べられる[4]

ナガエノスギタケの毒成分は不明であるが、ワカフサタケ属にはテルペン系の毒を含むものが多いため、注意が必要である[2]

脚注

  1. ^ a b c d e f Hebeloma radicosum”. MYCOBANK Database. 国際菌学協会 (IMA) とウェスターダイク菌類生物多様性研究所. 2025年3月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 長沢栄史 監修、Gakken 編『日本の毒きのこ』学習研究社〈増補改訂フィールドベスト図鑑 13〉、2009年9月28日、152頁。ISBN 978-4-05-404263-6 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 小宮山勝司、ヤマケイポケットガイド⑮『きのこ』、山と渓谷社、2000年、160頁
  4. ^ a b c d e f g h i 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄、山渓カラー名鑑『増補改訂新版 日本のきのこ』、山と渓谷社、2011年、244・604頁
  5. ^ 長沢栄史、増補改訂フィールドベスト図鑑13『日本の毒きのこ』、学研、2009年、152頁
  6. ^ a b 保坂健太郎、小学館の図鑑NEO『[改訂版]きのこ』、小学館、2017年、40頁
  7. ^ 安藤洋子「人間から生えたきのこ」、長沢栄史 監修『日本の毒きのこ』学習研究社〈増補改訂フィールドベスト図鑑 13〉、2009年9月28日、167頁。ISBN 978-4-05-404263-6 
  8. ^ 相良 直彦 原著論文 きのこを手がかりとしたモグラ類の営巣生態の調査法



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