ドライバーの賃金問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 13:43 UTC 版)
「日本のタクシー」の記事における「ドライバーの賃金問題」の解説
法人タクシードライバーの賃金は累進歩合制がほとんどであり、これに対して国土交通省は変更を勧告する通達を繰り返している。累進歩合制給与とは、売上高に応じて累進的に給与が加算される能力給制度の一種であるが、ベースとなる固定給が極めて低いのがタクシー業界の一般的特徴である。モータリーゼーションの進行でマイカーの所有が国民の多数に浸透してきたことと近年の規制緩和でタクシー台数が増やされたことをあわせると、限られたパイを取り合う構図になり、満足な収入を得られるのは一部の優れたドライバーに限られ、ほとんどのドライバーは極めて少ない収入となる(矢貫隆が『カーグラフィック』誌に2006年12月号より連載している「京都・タクシードライバー日記」によると、例えば1か月毎日12時間以上働いても売上高が30万円、賃金が手取り8万円というような状態が珍しくないという)。この問題に関連して、大阪府内の法人タクシーの運転手4人が、規制緩和による過度な増車等によって収入が低下し、労働条件の悪化と交通事故の増加を招いたなどとして、増車・運賃値下げの許認可取り消しと、1人当たり約50万円の損害賠償を国に対し求める訴訟を、2005年10月に大阪地裁に起こしたが、同地裁は2009年3月25日に、「規制緩和があったからといって、供給過多や極端な運転手の給与水準の低下があったとは認められない」として、訴えを棄却した。しかし、2008年には国土交通省が現在までの増車により発生した過当競争を緩和する目的で減車を行う新制度を作り、台数が多すぎる地域を「特定地域」と設定して制限しようとするなど、司法、行政間の見解で矛盾が生じている。
※この「ドライバーの賃金問題」の解説は、「日本のタクシー」の解説の一部です。
「ドライバーの賃金問題」を含む「日本のタクシー」の記事については、「日本のタクシー」の概要を参照ください。
- ドライバーの賃金問題のページへのリンク