ドイツ海軍での就役
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 14:15 UTC 版)
「グラフ (潜水艦)」の記事における「ドイツ海軍での就役」の解説
U-570は、1940年5月21日にハンブルクのブローム・ウント・フォス社で起工され、1941年5月15日に就役した。短い試験を幾つか実施した後でバルト海での就役航海を行い、その後ノルウェーに移動して短期間の訓練航海と魚雷発射訓練を実施した。7月25日にU-570は、トロンハイムの北約13キロメートル (8 mi)にあるトロンハイムフィヨルド(Trondheimsfjord)のロフィヨルデンのUボート基地(German U-boat base at Lofjord)へ移動した。 1941年8月の終わりにB局(B-Dienst)- ドイツ海軍の暗号解読組織 - は、アイスランド南の北大西洋海域に大規模な連合国軍の商船隊が集結していることに気付き、カール・デーニッツ提督は16隻のUボートに当該海域へ向かうことを命じた。U-570はその中の1隻であり、8月24日の朝に最初の実戦哨戒へ出航した。予定された作戦では、フランスのラ・パリス(La Pallice)にあるUボート基地へ赴く前にアイスランド南の海域を哨戒し、4週間の航海を予定していた。 U-570艦長のハンス=ヨアヒム・ラームロウ(Hans-Joachim Rahmlow)大尉は経験豊富な海軍将校であったが、Uボートに転属してきて間がなく、それ以前は砲術と沿岸防衛が専門であった。ラームロウは訓練艦のU-58の艦長を務めたが実戦哨戒任務の経験は無く、同様に先任士官は駆逐艦乗り組み後にUボート部隊に転属してから僅か数ヶ月しか経ておらず、次席士官も配属されて間もなく経験がほとんど無かった。機関長のみが(乗員4名中)Uボートでの実戦哨戒任務の経験を有する唯一の士官であった。下士官は数年の海軍勤務の経験がある一方で徴兵された兵員の多くは僅か数ヶ月のUボート訓練を受けた新兵であった。 U-570乗組員の殆どは実戦経験の無い者で占められていたが、これは当時としては珍しいことではなく、U-501 (1941年9月の最初の哨戒任務で撃沈された)から救出された乗組員に行った英国側の尋問では、U-501配属以前に実戦哨戒の経験を有するのは48名中僅か7名しかいないことが判明した。
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