トーマス=フェルミ近似
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「グロス=ピタエフスキー方程式」の記事における「トーマス=フェルミ近似」の解説
ボソン気体系の粒子数が非常に大きい場合、ハミルトニアンのボソン間相互作用項の寄与はボソンの運動エネルギー項よりはるかに大きくなる。従って、粒子数が充分大きい場合には運動エネルギー項を無視することができる。(全体に対し寄与の小さい)運動エネルギー項をハミルトニアンから落とす近似をトーマス=フェルミ近似という。トーマス=フェルミ近似の下で、グロス=ピタエフスキー方程式の解は厳密に求めることができ、以下のようになる。 ψ ( x ) = { μ − V ( x ) N g ( μ − V ( x ) g ≥ 0 ) 0 o t h e r w i s e {\displaystyle \psi (x)={\begin{cases}{\sqrt {\frac {\mu -V(x)}{Ng}}}&\left({\frac {\mu -V(x)}{g}}\geq 0\right)\\0&\mathrm {otherwise} \end{cases}}}
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トーマス=フェルミ近似
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「ボース気体」の記事における「トーマス=フェルミ近似」の解説
「トーマス=フェルミ模型」も参照 理想ボース気体の熱力学は、グランドカノニカル分布によって計算される。ボース気体のグランドカノニカル分布関数は次のように与えられる。 Z ( z , β , V ) = ∏ i ( 1 − z e − β ϵ i ) − g i {\displaystyle {\mathcal {Z}}(z,\beta ,V)=\prod _{i}\left(1-ze^{-\beta \epsilon _{i}}\right)^{-g_{i}}} この積のそれぞれの項は、固有のエネルギー εi に相当する。gi はエネルギー εi を持つ状態の数、z は絶対活量(またはフガシティー)で、化学ポテンシャル μ を用いて次のように定義される。 z ( β , μ ) = e β μ {\displaystyle z(\beta ,\mu )=e^{\beta \mu }} β は次のように定義される。 β = 1 k T {\displaystyle \beta ={\frac {1}{kT}}} ここで k はボルツマン定数、T は温度である。全ての熱力学的な量はグランドカノニカル分布関数から導出されるため、全ての熱力学的な量は3つの変数 z、β(または T )、V のみの関数として考えることができる。全ての偏微分係数は、3つの変数のうち1つを変数とし、残りの2つは定数とすることで求められる。ここで次のように定義される無次元のグランドポテンシャルを扱うと便利である。 Ω = − ln ( Z ) = ∑ i g i ln ( 1 − z e − β ϵ i ) . {\displaystyle \Omega =-\ln({\mathcal {Z}})=\sum _{i}g_{i}\ln \left(1-ze^{-\beta \epsilon _{i}}\right).} 平均エネルギーは準位間のエネルギー差と比べて大きいと仮定するトーマス=フェルミ近似を適用すると、上記の和は積分で置き換えられる。 Ω ≈ ∫ 0 ∞ ln ( 1 − z e − β E ) d g . {\displaystyle \Omega \approx \int _{0}^{\infty }\ln \left(1-ze^{-\beta E}\right)\,dg.} 縮退度 dg は一般的な公式によって多くの異なる状況を表現する。 d g = 1 Γ ( α ) E α − 1 E c α d E {\displaystyle dg={\frac {1}{\Gamma (\alpha )}}\,{\frac {E^{\,\alpha -1}}{E_{c}^{\alpha }}}~dE} ここで α は定数、Ec は臨界エネルギー、Γ はガンマ関数である。たとえば箱の中の質量を持つボース気体では α = 3/2 で、臨界エネルギーは次のように与えられる。 1 ( β E c ) α = V f Λ 3 {\displaystyle {\frac {1}{(\beta E_{c})^{\alpha }}}={\frac {Vf}{\Lambda ^{3}}}} ここで Λ は熱的波長である。調和トラップ中の質量を持つボース気体では α = 3 で、臨界エネルギーは次のように与えられる。 1 ( β E c ) α = f ( ℏ ω β ) 3 {\displaystyle {\frac {1}{(\beta E_{c})^{\alpha }}}={\frac {f}{(\hbar \omega \beta )^{3}}}} ここで V(r) = mω2r2 / 2 は調和ポテンシャルである。Ec は体積だけの関数である。 このグランドポテンシャルの方程式は、項別に被積分関数のテイラー級数を積分することにより、 または Li1(zexp(−βE)) のメリン変換に比例するとすることにより解くことができる。ここで Lis(x) は多重対数関数である。解は次のように与えられる。 Ω ≈ − Li α + 1 ( z ) ( β E c ) α {\displaystyle \Omega \approx -{\frac {{\textrm {Li}}_{\alpha +1}(z)}{\left(\beta E_{c}\right)^{\alpha }}}} このボース気体における連続体近似の問題点は、基底状態が実質的に無視されることで、ゼロエネルギーで縮退度がゼロになることである。この問題点はボース=アインシュタイン凝縮を扱うときには重大で、次章で扱う。
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