グラスバレー (企業)とは? わかりやすく解説

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グラスバレー (企業)

(トムソン・カノープス から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/02 08:53 UTC 版)

グラスバレー
Grass Valley Canada
市場情報 非上場
本社所在地 カナダ
カナダケベック州モントリオール
設立 1959年4月7日
業種 情報通信機器、放送機器
事業内容 映像編集機器、配信関連機器およびソフトウェアの開発、販売
代表者 ティモシー・ショルダース(社長兼CEO)
従業員数 1440人
外部リンク http://www.grassvalley.com/
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グラスバレー(英語:Grass Valley Canada)はアメリカ合衆国の放送映像機器メーカー及びそのブランドカリフォルニア州グラスバレーにて創業。現在の本社はカナダケベック州モントリオール

2020年8月現在は、ブラックドラゴンキャピタルの傘下である。かつてはベルデンの傘下だった。

沿革

1959年にカリフォルニア州グラスバレーにて、ドナルド・ヘアー(Donald Hare)により創業。1964年に最初の映像機器として映像配信アンプをNABショーのホテルでデモを実施。1968年にグラスバレー・グループはビデオ・スイッチャーの1号機を発売し、評判を得た。

1974年にテクトロニクスと合併し、その後15年間は経営が安定していたが、テクトロニクスは1999年に映像機器事業を売却。グラスバレー・グループ社(Grass Valley Group, Inc.、略称GVG)として独立。

2002年にフランスの電機大手トムソン・マルチメディア(現テクニカラー社)がグラスバレー・グループ社を買収[1]。2008年にトムソンが経営危機に陥り、2009年にはGVGの売却予定を発表[2] 。2010年に投資団フランシスコ・パートナーズが買収し[3]2011年からサンフランシスコを本拠に経営を開始。2013年に本社をオレゴン州ヒルズボロに移動[4]

2014年2月、米国ベルデン社がGVGの買収を発表[5]

2020年4月に、ブラックドラゴンキャピタルがグラスバレー株式の買収で合意[6]、2020年7月2日に正式に買収が完了した[7]

旧グラスバレーロゴ

グラスバレー株式会社

グラスバレー株式会社
Grass Valley K.K.
種類 株式会社
市場情報 非上場
東証JQ 6774
2001年7月27日 - 2002年11月18日
東証2部 6774
2002年11月19日 - 2006年6月30日
本社所在地 日本
650-0044
兵庫県神戸市中央区東川崎町1-1-3
神戸クリスタルタワー内
設立 1983年4月1日
(カノープス電子株式会社)
業種 電気機器
事業内容 映像編集、配信関連機器およびソフトウェアの開発、販売
代表者 北山 二郎(代表取締役社長)
資本金 9千万円9千万
売上高 66億1,825万円
(2008年12月期)
従業員数 196人
(2009年3月末現在)
決算期 2月末日
外部リンク http://www.grassvalley.jp/
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グラスバレー株式会社Grass Valley K.K. )は、日本ビデオ編集機器、コンピュータ周辺機器メーカー。現在はアメリカの大手電機メーカー、グラスバレー社の傘下である。旧トムソン・カノープス株式会社。旧称時のブランド名は、天体のカノープスと同様のCanopusを使用していた。カノープスのように、光り輝く企業であることが目標であり、社名の由来である。

沿革

製品の歴史

創業~1990年代前半

カノープス電子株式会社として初めての製品は、NEC PC-98用のZ80ボードであるPlus80(PLUS・80、PLUS-80 SYSTEM(プラスエイティ システム))。PC-88のクロス開発や、CP/M-80の動作環境として使用された。程なく、A/D変換ボードが主力となり、後のビデオキャプチャ製品に続く事になる。大阪に立ち寄ったビル・ゲイツに自社製JPEGコーデックのデモンストレーションを行う。

1990年代

PowerWindow 968

Windowsへの移行に伴うグラフィックアクセラレータへの需要に対して、PowerWindowシリーズを発表。独自のドライバ技術により、他を圧倒する性能を見せたことから、その開発技術を讃えてカノープス・チューン(カノプーチューン)などの造語も生まれた。カノープス製の一部のグラフィックカード用ドライバは、同じグラフィックチップを搭載した他社のグラフィックカードに流用することも可能であったが、当該カードのメーカーが製作した純正ドライバよりも、カノープス製ドライバの方が動作安定性が高く、ベンチマークなどでも高い数値を示す例が多く見られたため、カノープスは日本製PCハードウェアベンダとしての地位を確立していった。グラフィックカードにおけるカノープス・チューンが顕著に見られる一例に、NEC PC-9800シリーズのCバス用拡張ボードとしてリリースされた、PowerWindow968が挙げられる。当該製品のグラフィックチップには、Cバスの転送速度を鑑みれば明らかにオーバースペックと言えるS3のVision968が実装されていたが、ボトルネックを感じさせない速度で動作し、多くのユーザーを驚かせた。

また、A/D変換ボードの流れを汲むビデオキャプチャ製品を発表。 PowerCaptureシリーズは10年近く販売を続け、ロングセラーとなる。

2000年代

GeForce 3搭載ビデオカード・SPECTRA X21
TVチューナーボード・MTV2000

グラフィックアクセラレータコモディティ化に伴い、主力をビデオキャプチャTVチューナービデオ編集に移し、MTV2000に代表されるMTVシリーズや、DVStorm-RTに代表されるDVシリーズがメインとなる。PowerWindowシリーズは、開発チーム G.I.WORKSによるPCエンスー向けの製品、SPECTRAシリーズとなる。また、普及型VODシステムのはしりとなるMediaEdgeシリーズを発表し、システム分野への進出を図る。

現在

PC用TVチューナーのコモディティ化に伴い、軸足をビデオ編集・ビデオ配信に大きくシフト。これまでの蓄積を生かしたビデオ編集ソフトウェアEDIUSを開発するなど、業務用ビデオ編集システムHDWSやモザイク編集システムMRL、ビデオ配信システムMediaEdgeなどをラインナップし、システム販売への転換が進んだ。トムソングループによる買収で、トムソン傘下の放送機器会社グラスバレーと経営統合し法人向けおよびプロのクリエイター向け編集機器の事業に特化し、個人向けはキャプチャーボードを残し、グラフィックアクセラレータ事業からは撤退。

製品特徴

ビデオ編集

高いコストパフォーマンス・新規格への対応・他メーカー製品との共存など、現場の声を盛り込んだ商品開発姿勢を特徴とする。従来のノンリニア編集機器(メーカーによる囲い込みによって、高価格なシステムを構築しなければならなかった)とは対照的に、PC周辺機器メーカーの強みを生かしたコンパクトで安価なシステムを提供していた。この点は、業務クラスのユーザーから高い評価を得ていた。

編集用ソフトウェアは、自社製ビデオ編集ソフト"~Edit"シリーズとAdobe Premiereアドビシステムズ製)との組み合わせであったが、2003年EDIUSが発表されて以降はそちらへの一本化が進んだ。

ビデオ配信

ビデオ編集と同様、PC周辺機器メーカーの強みを生かした、コンパクトで安価なシステムを提供している。 映画館博物館、展示会などでのVODシステムなどに導入されている。2012年2月より、グラスバレー社によるMEDIAEDGE製品事業の譲渡が成立し、新たに設立されたMEDIAEDGE株式会社へ譲渡した。

グラフィックアクセラレータ

同社を代表するビデオカード製品ブランドであったSPECTRAシリーズNVIDIA製のグラフィックチップを採用しつつも、リファレンスデザインを強く否定し高画質化機構を搭載しているとする独自設計の基板を採用したことで、他社製品に比べて高価格にもかかわらず高い人気を獲得した。しかしNVIDIAが自社のリファレンスデザイン以外のビデオカードを認めない姿勢を取ったため2002年8月発表のSPECTRA Light G64 AGPを最後に新製品が発売を中止。

2003年11月にはSpectraシリーズとは異なる「高品質工業部品」としてリファレンスデザインのOEM製ビデオカードを白箱の簡易パッケージに梱包したRFXシリーズを発売した。

2005年にはエンドユーザー向けグラフィックアクセラレータ製品としてMTVGAシリーズを発表した。これはハイビジョン出力に対応したATI Technologies(現・AMD)製のGPUを採用したリファレンスデザインのOEM製ビデオカード製品である。MTVGAシリーズはATi製GPUに搭載されている高画質動画再生機能Avivoは無効にされており使用できなくなっていた。2005年8月にはNVIDIA製GPU搭載モデルも発売されたが、2006年2月に発表されたMTVGA X1300Lを最後に、新製品の発表を中止。

PC用TVチューナー

急速にコモディティ化が進んだため、PCエンスー向け製品も縮小し、今まで販売したTVチューナーはWindows Vistaに対応しないことを発表した。

PC用ビデオキャプチャカード

フルHD対応のビデオキャプチャカードHDRECSを日本で初めて発売した。

主な導入実績

音声技術会社
ポストプロダクション
映像編集スタジオ

主な制作実績

映画
テレビドラマ
テレビアニメ
インターネット配信

脚注

  1. ^ Thomson History Timeline: 1990-2003, Retrieved on 2009-08-23
  2. ^ “Thomson to Sell Grass Valley”. TV Technology. (january 29, 2009). http://www.tvtechnology.com/article/73816/ 2011年10月27日閲覧。 
  3. ^ “Francisco Partners Completes Acquisition of Grass Valley”. tvtechnology.com. (January 3, 2011). http://www.tvtechnology.com/article/111406 2011年1月3日閲覧。 
  4. ^ Rogoway, Mike (August 29, 2013). “Grass Valley, a video technology company with roots at Tektronix, moves HQ from San Francisco to Hillsboro”. The Oregonian. http://www.oregonlive.com/silicon-forest/index.ssf/2013/08/grass_valley_a_video_technolog.html#incart_river 30 August 2013閲覧。 
  5. ^ BeldenがGrass Valleyを2億2,000万ドルで買収へ [1]
  6. ^ ブラックドラゴンキャピタル、グラスバレー買収で合意 - グラスバレー 2020年2月7日(2020年8月23日閲覧)
  7. ^ Grass Valley Acquisition by Black Dragon Capital Completed - Grass Valley 2020年7月2日(2020年8月23日閲覧)
  8. ^ グラスバレー社によるMEDIAEDGE製品事業譲渡成立

外部リンク




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