ダークマター
目に見えないダークマターは質量からしか予測できない
ダークマターとは宇宙にある見えない物質のことで、ミッシングマスとも呼ばれています。光も電波も発することがないため、可視光線や赤外線、X線でも見えませんが、質量からその存在が予測される物質です。銀河系団の質量は、構成する各銀河の明るさから推定される値よりも、各銀河の運動から求めた質量のほうが10~100倍も大きいことが50年ほど前からわかっていました。また、渦状銀河では、星の数から期待される質量より、回転速度から求めた質量のほうが大きく、見えない物質が個々の銀河から宇宙全体にわたって存在することが明らかになったのです。ダークマターは銀河形成や宇宙が閉じているかどうかといった問題の解決に向けて重要な役割を担っていますが、正体はまだよくわかっていません。
なぞに包まれるダークマターの構成要素
私たちのまわりにある物質は陽子や中性子などのバリオンとよばれる物質からできています。普通の星もこのバリオンからできています。ダークマターはバリオンではないといわれ、その正体については質量を持ったニュートリノ説や超対称性粒子説、モノポール(磁石のN極、あるいはS極のいずれかのみの極を持った素粒子)説、原始ブラックホール説、アクシオン、宇宙のひも(コスミック・ストリング)説などが考えられています。
ビッグバン宇宙論を支えるダークマターの存在
ビッグバン宇宙論では、宇宙の質量の90~95%をダークマターが占めると考えられています。1993年1月、X線天文衛星ROSATは、地球から約1億5,000万光年離れたNGC2300グループと呼ばれる銀河集団を取り巻くガス雲を観測しました。このガス雲の温度は1,000万℃、直径は約130万光年、質量は太陽の5,000億倍に相当します。このガス雲はダークマターではないかと考えられており、ビッグバン理論を支える有力な論拠となっています。
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