ダレット計画(Plan Dalet)の存在とシン・ギメルとしてのエツェル
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「デイル・ヤシーン事件」の記事における「ダレット計画(Plan Dalet)の存在とシン・ギメルとしてのエツェル」の解説
デイル・ヤシーン事件はそれだけでも忌まわしい事件であるが、実は隠された目的があった。それは、ダレット計画と呼ばれる、イギリス委任統治領パレスチナのアラブ系住民の大量追放計画の実行である。デイル・ヤシーン事件は、その一環として起こされたものであった。つまり、地下テロ組織エツェル(Irgun Tzvai Leumi=民族軍事組織の意のヘブライ語頭文字Alef Tzadik lamedの略:Etzel)はアラブ系住民の中に意図的にパニックを起こすことを意図して行ったのである。これは、イスラエル独立前後の期間にハガナーが数百のアラブ系住民が住む村々に入り、見せしめの殺戮やレイプを行って恐怖をあおり、短時間の間に百万人を超える「移送」を完成させたことの一部である。第一次ラビン内閣時のラビン首相の諜報問題アドバイザーであったレハバム・ゼエビは当時ハガナーの常備部隊であったパルマッハに属しており、この「移送」が行われたことを公然と認めている。しかも、2005年にイスラエル総理府 公文書保管局(Ginzach ha-Medina)から発行された、公開公文書集『イスラエル首相イツハク・ラビン、その生涯の一部からの選集』 によると、第二次中東戦争開戦直前、当時若き有力将校であったラビンは、エジプトとの開戦を主張するモーシェ・ダヤン参謀総長(当時)の主張に反対してヨルダンとの開戦を主張し、その際、独立戦争中に行われた計画的大量追放と同様に、当時ヨルダン領であったヨルダン川西岸地区のアラブ人を再びヨルダンに「移送」することをベン=グリオン首相兼国防相に提言している。 イスラエル軍人の使う俗語シン・ギメル(門番の意。Shomer Gaderのヘブライ語の頭文字、Shin-gimel)とは、地位の高い者が都合が悪いときに立場の弱い者のせいにして責任をなすりつけることを意味する。そのようなイスラエル軍の思考は、レバノン戦争時、イスラエル軍がベイルートを囲んで、パレスチナ人に恨みを持っているマロン派民兵たちを意図的に難民キャンプに解き放ち、パレスチナ難民の大虐殺を引き起こした事件(サブラー・シャティーラ事件)の説明をシャロン国防相(当時)がイスラエルの国会で行った際、「イスラエル軍の手は汚れていない」と言ってのけたことにも窺える[誰によって?]。つまり、ダレット計画においては、非主流派のユダヤ人軍事組織「エツェル(イルグン)」はシン・ギメルであって、真の責任者はベングリオンである。
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