ソポクレースの悲劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 05:01 UTC 版)
「ピロクテーテース」の記事における「ソポクレースの悲劇」の解説
詳細は「ピロクテテス (ソポクレス)」を参照 ソポクレースの悲劇においては、前述の通り、オデュッセウスとネオプトレモスがピロクテーテースを戦線復帰させるべくレームノス島に来訪した。オデュッセウスは、ネオプトレモスに何も知らない風を装い、ピロクテーテースと親友になることを命じた。ネオプトレモスは故郷へ帰る途中だと嘘を吐き、また、ギリシア軍の頼みでトロイア戦争に参戦したのに、父アキレウスの鎧具を貰えず、オデュッセウスを恨んでいるという話もでっち上げた。ピロクテーテースは自分を島に置き去りにしたオデュッセウスを心底憎んでいたため、それに共感し、ついに打ち解け親友になることができた。 ピロクテーテースはヘーラクレースの弓矢を触りたいというネオプトレモスの希望に応え、その弓矢を彼に手渡した。そこでオデュッセウスが現れ、「トロイア戦争に参戦せよ、さもなくばヘーラクレースの弓矢はいただく」と脅した。ピロクテーテースはそれでも首を縦に振らず、断固拒否した。仕方がないとし、わずかな船員たちだけをピロクテーテースの元に残し、彼らは船へと去った。 船員たちはピロクテーテースの心変わりを望んだが、ただ嘆き怒り狂うのみで一向に心変わりしなかった。船員たちも船に戻ろうとしたその矢先、ネオプトレモスが帰ってきた。彼は、計略とは言え、一時は親友だったピロクテーテースを裏切るのに、罪悪感を覚えていた。そこで、オデュッセウスの反対を押し切り、ヘーラクレースの弓矢をピロクテーテースに返した。 ピロクテーテースはその行為に感動するも、それでもトロイア戦争に参戦することだけは断固拒否し、逆に故郷へ帰ろうとネオプトレモスを説得した。ネオプトレモスはそれを受け、我が故郷をギリシア軍の怒りから守ってくれるのならと、それに応じた。 その時、ピロクテーテースの住んでいた洞窟の影から神と化したヘーラクレースが現れ、ピロクテーテースに「トロイア戦争に参戦し、陥落させて、栄誉を受け取れ」と伝えた。ピロクテーテースとネオプトレモスはヘーラクレースの言葉に従い、前言撤回し、トロイア戦争に参戦することにした。
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