ソボレフ不等式
(ソボレフ埋蔵定理 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/21 17:29 UTC 版)
数学の解析学の分野には、ソボレフ空間のノルムを含むノルムに関して、ソボレフ不等式(ソボレフふとうしき、英: Sobolev inequality)の類が存在する。それらは、ある種のソボレフ空間の間の包含関係を与えるソボレフ埋蔵定理(Sobolev embedding theorem)や、わずかに強い条件の下でいくつかのソボレフ空間は別のものにコンパクトに埋め込まれることを示すレリッヒ=コンドラショフの定理を証明するために用いられる。セルゲイ・ソボレフの名にちなむ。
ソボレフ埋蔵定理
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R n {\displaystyle \mathbb {R} ^{n}} 上の実数値関数で、 k {\displaystyle k} 階までの弱微分が L p ( R n ) {\displaystyle L^{p}(\mathbb {R} ^{n})} に含まれるものからなるソボレフ空間を W k , p ( R n ) {\displaystyle W^{k,p}(\mathbb {R} ^{n})} と表す。ここで k {\displaystyle k} は非負の整数で、 1 ≤ p < ∞ {\displaystyle 1\leq p<\infty } である。ソボレフ埋蔵定理の第一の部分では、 k> l {\displaystyle k>l} と 1 ≤ p < q < ∞ {\displaystyle 1\leq p<q<\infty } が ( k − l ) p < n {\displaystyle (k-l)p<n} および 1 q = 1 p − k − l n {\displaystyle {\frac {1}{q}}={\frac {1}{p}}-{\frac {k-l}{n}}} を満たす二つの実数であるなら、 W k , p ( R n ) ⊂ W l , q ( R n ) {\displaystyle W^{k,p}(\mathbb {R} ^{n})\subset W^{l,q}(\mathbb {R} ^{n})} であり、この埋め込みは連続であることが示されている。 k = 1 , l = 0 {\displaystyle k=1,\ l=0} であるような特別な場合では、次が成り立つ: W 1 , p ( R n ) ⊂ L p ∗ ( R n ) {\displaystyle W^{1,p}(\mathbb {R} ^{n})\subset L^{p^{*}}(\mathbb {R} ^{n})} ここで p∗ は、次で与えられる p のソボレフ共役である: 1 p ∗ := 1 p − 1 n . {\displaystyle {\frac {1}{p^{*}}}:={\frac {1}{p}}-{\frac {1}{n}}.} このようなソボレフ埋蔵定理の特別な場合は、ガリャルド=ニーレンバーグ=ソボレフ不等式(Gagliardo–Nirenberg–Sobolev inequality)の直接的な帰結である。 ソボレフ埋蔵定理の第二の部分は、ヘルダー空間 C r,α(Rn) の埋め込みに対して適用される。すなわち、α ∈ (0, 1) に対して (k − r − α)/n = 1/p であるなら、次の埋め込みが成立する: W k , p ( R n ) ⊂ C r , α ( R n ) . {\displaystyle W^{k,p}(\mathbf {R} ^{n})\subset C^{r,\alpha }(\mathbf {R} ^{n}).} ソボレフ埋蔵定理のこの部分は、モレーの不等式(Morrey's inequality)の直接的な帰結である。直感的に、十分高い階の弱微分の存在は古典的な微分のある種の連続性を意味することを、この包含関係は表している。
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