ゼンマイとオルゴール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 22:30 UTC 版)
13世紀にはいるとオートマタの基本的な技術要素であるカムシャフトが文献に現れる。この時期には時計の製造技術も飛躍的に向上した。決められた時間に鐘を鳴らす仕組みが考えられ、その技術は教会に設けられた時計台の鐘を鳴らすオートマタに応用された。それまで時を知らせるのは鐘つき男の仕事だったが、鐘つき男を模したジャックマールと呼ばれる時計人形が代わりに鐘を鳴らした。この人形は人気を集め、動きや表情など多様化が見られた。14世紀末に作られたストラスブール大聖堂 の天文時計では高さ122センチメートルの雄鶏のオートマタが羽ばたいて時を告げた。1574年には第二の天文時計が作られ、ジャックマール以外にも天使や死神など宗教的なモチーフのオートマタが用いられた。 15世紀にはゼンマイによる蓄積できる動力が発展していく。これによって時計の小型化が可能となり、職人の増加や市場の拡大が進んだ。 オートマタの機械的な技術は、後にオルゴールに分類される自動演奏楽器の歴史にも大きなかかわりがある。現在ではカリヨンとよばれる大掛かりな仕掛けを伴う時計には、分類上はオルゴールに近い自動演奏装置が組み込まれ、教会の鐘を音程をつけて鳴らすために使われていた。この原理は、シリンダーと呼ばれる円筒状の媒体に楔を打ち込み、その楔部分がスイッチとなって演奏情報に変換されるものであった。このスイッチを空気の制御および鍵盤(音程)の高低の情報とし自動オルガンが作られた。楔は点でなく棒状にもできるため、空気を送り込む時間が、音符の長さとしても表現できるものであった。
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