スポーツにおけるアイシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/09/07 00:55 UTC 版)
「アイシング (治療)」の記事における「スポーツにおけるアイシング」の解説
スポーツにおいては負傷に対する応急処置以外にも、運動後の疲労蓄積・筋肉痛を軽減させ、前述の二次的低酸素障害を防止する目的で行われる。アイシングは前述のように、冷却した部位の細胞の新陳代謝レベルを低下させる。運動後は筋肉の温度が上昇することでエネルギー消費が大きくなっており、そのことが疲労の蓄積に繋がる。したがってアイシングを行うことでエネルギー消費を抑え、疲労の蓄積を抑えることが可能にある。また筋肉が損傷し痛みを覚える場合には痛感神経をマヒさせることで筋肉痛を和らげ、筋スパズムを軽減させることが可能となる。さらに筋肉が微細な損傷を負ったことによる炎症を抑え、損傷が周囲に拡大すること(二次的低酸素障害)を防止することができる。 スポーツ選手にとってフィジカルトレーニングや競技の後のアイシングは常識であるとされる。またスポーツ選手は身体に慢性的な痛みや故障を抱えていることが多いため、痛みの緩和や故障の悪化の防止のためにも行われる。 さらにスポーツの分野では、パフォーマンスを向上させる目的でアイシングを行うことがある。筋肉にはパフォーマンスを発揮するのに適した温度があるが、競技中は筋肉の温度が過度に上昇する。そこで身体に水をかけることで過度に上昇した筋肉の温度を下げ、パフォーマンスが発揮しやすい状況を作り出す。多くのマラソン選手は競技中に給水所で受け取った水を腕や足にかけている。サッカーにおいても、夏期の試合では同様の目的で足に水をかける選手が多い。。 ウォーミングアップの前にアイシングを行うと、2つの効果を得ることができる。1つは冷却した部位の血流量を消費エネルギーを抑えつつ短時間で増加させ、筋肉の温度(筋温)を運動に適した温度に高めることである。ある部位を局所的に冷却すると、その部位の温度を元に戻そうとする作用が働く。それに合わせて運動を行いさらに血流量の増加を促すことで短時間で血流量を増加させ、筋温を高めるために消費するエネルギーの量を節約することができるのである。2つめの効果は、特定の部位に痛みを抱えている場合に、筋スパズムが発生することを防止することでパフォーマンスの低下を抑える効果である。
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