シーハリアーと軽空母
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:51 UTC 版)
「フォークランド紛争」の記事における「シーハリアーと軽空母」の解説
イギリス海軍のシーハリアーFRS.1艦上戦闘機は遷音速程度しか発揮できず、しかも編成当初の第317任務部隊には20機しか配備されていなかった。しかしアルゼンチン側の制約のために、実際には速度差は当初予想されたほどではなくなっていた。また数的な不利についても、アルゼンチン側よりも基地(母艦)が近くに配置されていたうえに稼働率は高く、少ない機体でも最大限に活用できた。 結果的にシーハリアーは計6機(事故4機)を喪失したとはいえ、空戦での損失は無く、アルゼンチン機との空戦では23機を撃破している。戦前には、飛行中の推力偏向(VIFF)の空中戦闘機動への応用が注目されていたが、実際の戦闘では用いられなかった。ハードウェア面で大きな優位をもたらしたのが新世代のサイドワインダーであるAIM-9Lであった。従来のサイドワインダーは目標の後方に回り込まなければ使用できなかったのに対し、AIM-9Lは新型の赤外線センサを採用してほぼ正面からでも交戦可能となり、また旋回性能や弾頭威力も向上していた。実戦でも、正面からの射撃こそ記録されていないが、26~27発の発射で17機を撃墜した。 なおイギリス側の課題の1つが早期警戒機(AEW)の欠如であった。イギリス海軍は1978年に最後の正規空母であるオーディシャス級空母「アーク・ロイヤル」を退役させると同時にフェアリー ガネットAEW.3を退役させて以降、艦上機としてのAEWを保有しておらず、対空捜索能力の不足につながった。これを補うため、ウェストランド社が独自に開発していたウェストランド シーキングのAEW版派生型が採択され、既存のシーキングHAS.2を改装して突貫工事でシーキングAEW.2の試作機2機が製作されたものの、初号機の初飛行は7月23日となり、紛争には間に合わなかった。
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