コロイド溶液のゼータ電位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/25 06:29 UTC 版)
「ゼータ電位」の記事における「コロイド溶液のゼータ電位」の解説
ゼータ電位は界面の性質を評価する上で重要な値である。特にコロイドの分散・凝集性、相互作用、表面改質を評価する上での指標となる。コロイド粒子は構成分子 / 原子間のファンデルワールス力を総和した長距離引力を普遍的に有する。これは常にコロイド粒子に凝集しようとする傾向を与える。一方、コロイド粒子は溶媒中で対イオンによる電気二重層をまとっており、粒子同士がある程度接近すると互いの二重層が重なり、浸透圧による斥力が生じる。この斥力が粒子間ファンデルワールス力に打ち勝てば、コロイド粒子が分散する。この現象を定量的に説明した理論がDLVO理論である。浸透圧以外の斥力として、親水性粒子の場合の溶媒和力(溶媒吸着による立体斥力)などがある。 コロイドの反発力はよく静電反発と呼ばれるが、特に水など高誘電率の溶媒中では静電的なポテンシャルは遮蔽される。DLVO理論などで電位を計算する際、静電ポテンシャルの計算モデルを利用するため起こっている誤解と考えられる。溶媒中で粒子間力というオーダーでは、定性的に静電力ではなく浸透圧に由来する斥力である。 ゼータ電位はこの電気二重層の大きさに対応しており、斥力項を相対的に数値化することから、コロイドの安定性の指標となる。ゼータ電位がゼロに近づくとコロイド粒子の凝集する傾向が斥力に打ち勝つため、粒子の凝集が起こる。逆に、ゼータ電位の絶対値を大きくするような添加剤をコロイド表面に吸着させる、あるいはpHに依存するプロトンの脱着によって表面荷電を変化させるなどにより、コロイドの分散安定性を制御することが可能である。
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