ココ_(メルキト部)とは? わかりやすく解説

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ココ (メルキト部)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 07:39 UTC 版)

ココ(Kökö、1223年 - 1262年)は、モンゴル帝国に仕えたメルキト人。字は子清。『元史』などの漢文史料では闊闊(kuòkuò)と記される。

概要

ココの一族はチンギス・カンに敵対して減ほされたメルキト部族の出身で、モンゴル帝国の建国時に投降して仕えるようになったという。その中でもココはチンギス・カンの末子のトルイの次男のクビライ(後の第5代皇帝)に仕えるようになり、即位以前のクビライはココを近待としていた[1]

1244年甲辰)、クビライはもと金朝の第一進士であった王鶚が戦乱を避けて保州に居住していたことを聞き、使者を派遣して自らの側近であるココ・柴禎・廉希憲ら5人への指導を依頼した[2][3]。この時廉希憲らが王鶚から学んでいたのは「致知格物」、すなわち宋学であった[4]。この時期は耶律楚材によって一時的に科挙が再開されていた時期でもあり、宋学が流行している時期でもあった[5]

ココは師事を受ける中で王鶚を深く尊崇するようになり、王鶚が指導を終えて去っていったときには号泣してしばらく食事もしないほど悲しんだという。1245年庚戌)、クピライの兄のモンケが王鶚を今度はカラコルムに招聴し、ココは王鶚に付き従って世話をするよう命じられた。ココは毎朝起きるたびに王鶚の衣服を飾り立てるなど甲斐甲斐しく世話をしたが、王鶚から華美な生活によって驕慢になってはいけないと窘められ、以後質素な生活を心がけたという[6]

1252年壬子)には領燕京匠局とされ、クビライの即位後には中書左丞とされたが、大名路宣撫使に任じられた。中統3年(1262年)に40歳で死去した[7]。息子には堅童がおり、大元ウルスの要職を歴任したが、39歳の若さで病死した[8]

脚注

  1. ^ 『元史』巻134列伝21闊闊伝,「闊闊字子清、本蔑里吉氏部族、世居不里罕哈里敦之地。其俗驍勇、善騎射、諸族頗憚之。国初、挙族内附。世祖居潜邸、選闊闊為近侍」
  2. ^ 『元史』巻160列伝47王鶚伝,「王鶚字百一、曹州東明人。……甲辰冬、世祖在藩邸、訪求遺逸之士、遣使聘鶚。……歳餘、乞還、賜以馬、仍命近侍闊闊・柴禎等五人従之学」
  3. ^ 山本2015,183-184頁
  4. ^ 山本2014,114頁
  5. ^ 山本2014,186-187頁
  6. ^ 『元史』巻134列伝21闊闊伝,「歳甲辰、世祖聞王鶚賢、避兵居保州、遣使徴至、問以治道、命闊闊与廉希憲皆師事之。既而闊闊出使于外、迨還、而鶚已行、思慕号泣、不食者累日、世祖聞而異之。歳庚戌、憲宗復召鶚至和林、仍命闊闊従之遊。毎旦起、盛飾其冠服、鶚譲之曰『聖主好賢楽善、徴天下士、命若従学。若等不能称主上心、惟誇衒鮮華以益驕貴之気、恐窒於外而塞於中、道義之言、無自而入、吾所不取也』。闊闊深自悔悟。明日倶純素以進、鶚乃悦」
  7. ^ 『元史』巻134列伝21闊闊伝,「歳壬子、奉命僉諸路軍籍、以丁壮産多者充之、所至編籍無撓、人皆徳之。及還、帝悦、命領燕京匠局。世祖即位、特授中書左丞。未幾、遷大名路宣撫使、以疾卒、年四十」
  8. ^ 『元史』巻134列伝21闊闊伝,「子堅童、字永叔、少孤、甫十歳、即従王鶚遊。既長、奉命入国学、復従許衡遊。弱冠入侍禁廷、授中順大夫・侍儀奉御。遷中議大夫・同修起居注。及奉使済南、見楊桓賢、遂力薦之。至元二十三年、授嘉議大夫・礼部尚書。遷吏部尚書、秩未満、特授通議大夫・御史台侍御史。二十四年、扈従東征、屡戦有功、遷燕南河北道提刑按察使。二十八年、授正議大夫・燕南河北道粛政廉訪使、遂拜河南行省平章政事、駅召赴闕、未拜、以疾卒、年三十九」

参考文献


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