ケニー療法 (Kenny regimen)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/19 14:01 UTC 版)
「ポリオの歴史」の記事における「ケニー療法 (Kenny regimen)」の解説
麻痺した筋肉に対する初期の治療慣行は、影響を受けた筋肉を休息させる必要性を強調するもので、副木を用いることで正常な運動の妨げとなる筋肉、腱、靭帯や皮膚の硬化を防ぐことを示唆していた。多くの麻痺性ポリオの患者は数ヶ月間、石膏の体幹ギプスの中に横たわっていた。この長期の固定によって、影響を受けた筋肉と受けていない筋肉の双方で筋萎縮がしばしば引き起こされた。 1940年、オーストラリア・クイーンズランド州の看護師エリザベス・ケニー(英語版)は北アメリカに到着し、この治療アプローチに異を唱えた。1928年から1940年にかけてオーストラリアの僻地でポリオの治療を行う中で、ケニーは、影響を受けた肢を固定するかわりに、ポリオ患者の痛みと痙攣を緩和することを目的とした一種の理学療法を開発した。筋肉の痙攣を緩和するために熱く湿ったパックを用い、影響を受けなかった筋繊維の強度を最大化するために運動を行い、ウイルスによって死ぬことなく残った神経細胞の可塑性による補充を促進した。ケニーは後にミネソタ州に移住してSister Kenny Rehabilitation Instituteを設立し、彼女の治療体系の世界的な宣伝を開始した。やがてケニーの考えは受け入れられ、20世紀半ばまでに麻痺性ポリオの治療の特徴となった。筋収縮を抑えるための鎮痙剤(英語版)の投薬と組み合わせて、ケニーの治療法は現在でも麻痺性ポリオの治療に用いられている。 2009年のクイーンズランド州分離150周年記念式典 (Q150) において、ポリオに対するケニーの治療法は"Q150 Icons"(クイーンズランド州を代表する150の文化的アイコン) の「技術革新と発明」のアイコンの1つとなることが発表された。
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