クラスプの種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 13:49 UTC 版)
RPIクラスプ 近心レスト(R)、隣接面板(P)、Iバーからなり、3つの構成要素が互いにレシプロケーションを有し合理的な維持力を発揮するクラスプ。歯面への接触面積が小さく、歯肉縁への生理的刺激を阻害することが少ない。主に遊離端義歯の小臼歯に両側性に用いられる。アンダーカット量は0.25mmとされる。 近心レストにより支台歯の引き倒し作用と釘抜き作用を防止し、自浄性も優れる。遊離端義歯の直接維持に適している。大きなアンダーカットが存在する場合や小帯付着位置によっては適応できない場合がある。 RPAクラスプ 近心レストによる支台歯の引き倒し作用、釘抜き作用を防止する。遊離端義歯の直接維持に適したクラスプ。また、鉤歯周囲の粘膜部のアンダーカットや小帯の付着状態に影響されないため適応範囲が広い。 エーカースクラスプ 鉤腕は原則的に鉤歯の3面4隅角を囲み、レシプロケーションのためには鉤尖の位置は頬舌側で同じ高さにあることが理想的である。一般的にはファーゾーンの0.25~0.5mmのアンダーカットを利用する。中間歯欠損部の直接維持装置として最適なクラスプであり、顎堤に対して負担を軽減させる。しかし、これを遊離端の直接維持に適応すると、引き倒し作用と釘抜き作用が生じて支台歯に負担をかける。 双子鉤 エーカースクラスプを体部で2個連結した形態で維持力が強い。維持力の増強と鉤歯への負担軽減を兼ねる目的で応用される。支持、維持、把持に優れる。間接維持装置として用いられることが有効。 リングクラスプ ニアゾーンから始まって支台歯の歯冠を1周し、ニアゾーンのアンダーカットに終わる。最後方大臼歯に用いることが多く、左右対称に用いると効果が高い。0.75mmのアンダーカット量を利用する。近心舌側あるいは近心頬側に傾斜した最後方臼歯への適応に適している。アンダーカット量が多いため着脱時に支台歯に負担がかかりやすい。 バックアクションクラスプ 鉤脚が口蓋側のファーゾーンまで延び、そこから鉤腕が歯冠を取りまいて頬側のファーゾーンのアンダーカットで終わる。鉤脚が長いためある程度緩圧性があり、遊離端欠損症例に左右対称的に用いると効果的である。支台歯が頬側傾斜する傾向にある上顎に対し、大臼歯部両側遊離端欠損の支台装置として、主に小臼歯に左右対称に設置する。食片圧入が大きく、アンダーカット量が大きく支台歯の負担につながる。 リバースバックアクションクラスプ バックアクションクラスプの鉤体が頬側に、鉤尖が舌側におかれる形態。支台歯が舌側傾斜する傾向にある下顎に対し、大臼歯部両側遊離端欠損の支台装置として、主に小臼歯に左右対称に用いられる。食片圧入が生じやすくアンダーカット量も多いので支台歯に負担がかかる。 ヘアピンクラスプ ダブルアームクラスプとも呼ばれる。ニアゾーンから始まって、鉤腕が途中で屈曲してニアゾーンのアンダーカットで終わる。鉤腕の形態からどうしても破折しやすいクラスプである。歯冠長のある鉤歯に使用される。 単純鉤 1つの鉤腕のみを有するクラスプ。主に前歯部の舌側に用いられる。支持、把持効果は期待できない。 ローチバークラスプ 鉤歯に近い義歯床縁から粘膜面に沿って近遠心的に接近腕を延長して、鉤歯の頬側または舌側中央で歯軸方向に彎曲して鉤腕となり、その先端が歯頚方向から鉤歯の維持領域に適合するバー型のクラスプである。 鉤尖の形態によって、T型、I型、L型、C型などがある。 延長腕鉤 欠損部直近の支台歯に有効なアンダーカットがとれないときや、鉤歯の連結固定を図りたいときに用いる。鉤腕が長くなるため鉤肩で破折しやすい。
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