クハ5形問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/09 09:29 UTC 版)
また、狭幅の付随車が制御電圧の差異によりサハ6形(600V)とサハ19形(100V)に区分されたにもかかわらず、制御電圧100Vのクハ15形に対して、研究者の間では制御電圧600Vのクハ5形の存在がしばしば囁かれており、長年にわたって車歴簿の作成に支障を生じる状況が続いていた。これには、1928年の称号規程改正時に形式5を称する形式が欠番となっていたということもある。 国電研究の第一人者である沢柳健一が1997年に「決定版 旧型国電車両台帳」を発刊した際にも、これが原因で1928年以降の状況のみの収録とせねばならなかったほどである。この問題については、2006年に発刊された「旧型国電車両台帳 院電編」でようやく解明がなされた。当時の趣味者にクハ5形を実見した者がいないこと、クハ15形が制御電圧600Vのモハ1形と混結されていた記録が残っている等の状況証拠から、理由は不明であるが制御電圧600V車をクハ5形とする計画は実施段階になって破棄され、両者は制御電圧の差異にかかわらずクハ15形に統合されたものと判明した。 これによって、日本の国有鉄道の旧形電車に関して最大の謎となっていた「クハ5形問題」は、ようやく解決を見たのである。
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