ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』のモデルを巡って
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「藤原章生」の記事における「ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』のモデルを巡って」の解説
2007年刊行の『ガルシア=マルケスに葬られた女』(集英社)では、コロンビア出身のノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスが代表作『予告された殺人の記録』でモデルにした女性、マルガリータ・チーカの実像に迫り、マルガリータ・チーカが死の直前、自分を捨てた元夫を許したこと、ガルシア=マルケスが病床に何度も電話をしてきたが、それに応えなかったことを新たな事実として伝えている。 ラテン・アメリカ文学研究科で翻訳家の野谷文昭は『予告された殺人の記録・十二の遍歴の物語』(ガブリエル・ガルシア=マルケス 著、野谷文昭 翻訳、旦 敬介 翻訳、新潮社、2008年)の「解説」で、『予告された殺人の記録』の理解にはマルケスの一族の家族関係が重要で、それを知る3著として、マルケスの弟、エリヒオが書いた『サンティアゴ・ナサールの第三の死――記録の記録』、シルビア・ガルビス著『ガルシア=マルケス一族』と共に、藤原による『ガルシア=マルケスに葬られた女』を挙げ、その理由を次のように書いている。 “事件の中心人物にインタビューを行い、とりわけヒロイン、アンヘラ・ビカリオのモデルになったマルガリータ・チーカに焦点を合わせて書いている。藤原は『予告された殺人の記録』が出版されたことにより彼女が再びスキャンダルに巻き込まれたことを伝え、作家の倫理の問題にしているのだが、それはこの小説の実話性と同時にリアリティの強度を示しているとも言えるのではないだろうか。” —野谷文昭、2008年、新潮社、『予告された殺人の記録・十二の遍歴の物語』「解説」より また、野谷はマルケスが土地の隠語を多用させているくだりで、“著者が披露している例に、<鶏冠のスープ>というのがある。これはおそらく架空の料理と思われる。著者によれば<鶏冠>は隠語で処女膜を意味するという”と藤原の指摘を紹介している。
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