カナディア CL-84とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 乗り物 > 飛行機 > 実験機・記録機 > カナディア CL-84の意味・解説 

カナディア CL-84

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/15 05:08 UTC 版)

カナディア CL-84

カナダ航空宇宙博物館に展示されているCL-84の試作1号機

  • 用途:垂直離着陸実験機
  • 分類垂直離着陸機
  • 設計者:フレデリック・C・フィリップス
  • 製造者カナディア
  • 運用者:王立カナダ空軍(RCAF)*当時
  • 初飛行1965年5月7日
  • 生産数:4機
  • 生産開始1964年
  • 運用開始1965年(テスト開始年)
  • 退役1974年
  • 運用状況:退役

カナディア CL-84は王立カナダ空軍(当時、現:カナダ空軍)が開発したVTOL実験機である。愛称はダイナヴァート(Dynavert)で、ダイナミック(Dynamic)とヴァーティカル(Vertical)を組み合わせた造語と思われる。

概要

2基のエンジンのついた主翼を102度の角度まで変化させることができるティルトウイング方式の垂直離着陸機である[1]。主翼の他に、機体後端に垂直方向に推力を発生させるテイルローターを装備しており、VTOL時に垂直トリムを修正するようになっていた[1]。エンジンはライカミング社製のT53で、片側のエンジンが故障した場合に備え、両エンジンはシャフトで連結されていた[1]

操縦系統は通常の航空機と同じで、水平飛行中は三舵で操縦されるが、ホバリング時はテイルローターでピッチを、左右のプロペラでバンクを、左右のフラッペロンヨーをコントロールするようになっており、ホバリング時でも水平飛行時と全く同じ感覚で操縦できるようになっていた。また、安定増強システム(SAS)が組み込まれたことにより、手放しでもホバリングが可能なほど優れた安定性を発揮した。乗員はパイロット2名の他、軍用評価に備えて最大12名の人員を乗せることも可能だった。

1963年に試作が決定してから僅か2年足らずで試作1号機が完成し、1965年5月7日にホバリングにより初飛行。同年12月に水平飛行で離陸を行い、1966年にホバリングから水平飛行への転換に成功した。試作1号機は306回目のテスト飛行中に突如コントロールを失い墜落したが、パイロット2名は射出座席で脱出し助かった。原因は片方のプロペラの故障と推測された。

その後、胴体の延長やエンジンの強化などの改良が施されたCL-84-1が3機が製造され、アメリカ海軍の強襲揚陸艦グアムでの離着艦試験や、ペンタゴンの前に用意された離着陸場でのVTOLデモンストレーションなど、1974年までアメリカで種々のテストが行われた。カナディアはCL-84を原型としたガンシップや軽輸送機をカナダやアメリカなどに売り込んだが、ヘリコプターに対する優位性を必ずしも証明できなかったために、本格的に量産されることはなかった。

要目(CL-84-1)

  • 全長:16.34 m
  • 全幅:10.56 m
  • 全高:4.34 m(主翼水平時)/5.22 m(主翼垂直時)
  • 空虚重量:3,980 kg
  • 最大離陸重量:6,577 kg(短距離滑走離陸時)/5,715 kg(垂直離陸時)
  • エンジン:ライカミング T53 ターボシャフトエンジン(1,500 軸馬力(出力1,100 kW)2基
  • 最大速度:517 km/h=M0.42
  • 巡航速度:497 km/h=M0.41
  • 航続距離:547 km
  • 乗員:2名

脚注

出典

  1. ^ a b c 航空情報 1976, p. 17.

参考文献


「カナディア CL-84」の例文・使い方・用例・文例




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カナディア CL-84」の関連用語

カナディア CL-84のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カナディア CL-84のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカナディア CL-84 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS