オニハダカ属の進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/24 23:50 UTC 版)
オニハダカ属はヨコエソ科に所属する他の4属のうち、ヨコエソ属と最も近縁である。主としてミトコンドリアDNAの塩基配列に基づく近年の分子生物学的解析により、オニハダカ属そのものの単系統性は確かなものとみなされている。その一方で、ヨコエソ属が側系統群となることも同時に示され、全体の単系統性を維持するためには、オニハダカ類とヨコエソ類を合わせた群を新たに定義するか、あるいはヨコエソ属を分割する必要があると考えられている。 オニハダカ属の祖先は下部中層から漸深層にかけて、比較的深いところに生息していたことが、前述の系統樹から推測されている。進化の初期段階からの深海への適応は、ホカケダラ属(タラ目ソコダラ科)など他のグループでも知られている。その後の進化に応じて生息水深を浅くしていったとみられるが、中部中層から上部中層への移行は連続的ではなく、下部中層で暮らしていた別々の系統が、それぞれ独自に獲得した生活様式であることが示唆されている。 三大洋に広く分布するユキオニハダカは同種内での遺伝的多様性が極めて高く、集団間での塩基配列の違いが10%に達することもある。中部太平洋の個体群は大西洋の集団と、西部太平洋の群はインド洋のものと近縁で、同じ太平洋のグループ同士での遺伝的関係はむしろ遠い。この特異な関係はパナマやティモール海が大洋を隔てる障壁となる前に形成されたとみられ、オニハダカ類の分布と進化を研究する上で、従来の形態学的手法のみでは得られない新たな情報を提供することになった。
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