エフィンガム伯爵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/22 03:56 UTC 版)
エフィンガム伯爵(英語: Earl of Effingham)は、イギリスの伯爵位。
第1期は1731年にグレートブリテン貴族として、第2期は1837年に連合王国貴族として創設されており、第2期の家系が現存している。第1期と第2期いずれも第2代ノーフォーク公爵トマス・ハワードの五男ウィリアム・ハワードの流れを汲む。
関連する爵位としてエフィンガムのハワード男爵(Baron Howard of Effingham)とノッティンガム伯爵(第6期)についても触れる。
歴史
第2代ノーフォーク公爵トマス・ハワードの五男ウィリアム・ハワードは1554年にイングランド貴族「カウンティ・オブ・サリーにおけるエフィンガムのハワード男爵(Baron Howard of Effingham, in the County of Surrey)」に叙された[1]
このエフィンガムのハワード男爵位を継承した長男チャールズは、1585年から1619年にかけて海軍卿を務め、1588年にはアルマダ海戦でスペイン無敵艦隊を撃破した。その功績で1596年にイングランド貴族「ノッティンガム伯爵(Earl of Nottingham)」位を授与されている[2]。
このノッティンガム伯爵位は1681年に第3代伯爵チャールズが後継者を残さなかったことで絶えたが[3]、エフィンガムのハワード男爵位の方は初代ノッティンガム伯爵チャールズの弟サー・ウィリアム・ハワードの曾孫フランシスに継承された[4]。
その次男の第7代エフィンガムのハワード男爵フランシスは1731年にグレートブリテン貴族「カウンティ・オブ・サリーにおけるエフィンガム伯爵(Earl of Effingham, in the County of Surrey)」に叙されたが[5]、第4代エフィンガム伯爵リチャードが後継者なく1816年に死去したことで絶家し、エフィンガム伯爵位は一度消滅した[6]。
エフィンガムのハワード男爵位の方は第5代エフィンガムのハワード男爵フランシスの弟ジョージの曾孫であるケネスに継承され、彼は1837年に改めて連合王国貴族「カウンティ・オブ・サリーにおけるエフィンガム伯爵」に叙された[7]。このエフィンガム伯爵が今日まで続いており、2022年現在の当主は第8代伯爵エドワードである[8]。
土地はオックスフォードシャーを中心に所有しており、1883年の調査によれば5731エーカーを所有していた[9]。
一覧
エフィンガムのハワード男爵(1554年)
- 初代エフィンガムのハワード男爵ウィリアム・ハワード (1510年-1573年)
- 第2代エフィンガムのハワード男爵チャールズ・ハワード (1536年-1624年) (1596年にノッティンガム伯爵に叙される)
ノッティンガム伯爵(1596年)
- 初代ノッティンガム伯爵・第2代エフィンガムのハワード男爵チャールズ・ハワード (1536年-1624年)
- 第2代ノッティンガム伯爵・第3代エフィンガムのハワード男爵チャールズ・ハワード (1579年-1642年)
- 第3代ノッティンガム伯爵・第4代エフィンガムのハワード男爵チャールズ・ハワード (1610年-1681年)
エフィンガムのハワード男爵(1554年、復帰)
- 第5代エフィンガムのハワード男爵フランシス・ハワード (1643年-1695年)
- 第6代エフィンガムのハワード男爵トマス・ハワード (1682年-1725年)
- 第7代エフィンガムのハワード男爵フランシス・ハワード (1683年-1743年) (1731年にエフィンガム伯爵に叙される)
エフィンガム伯爵 第1期(1731年)
- 初代エフィンガム伯爵・第7代エフィンガムのハワード男爵フランシス・ハワード (1683年-1743年)
- 第2代エフィンガム伯爵・第8代エフィンガムのハワード男爵トマス・ハワード (1714年-1763年)
- 第3代エフィンガム伯爵・第9代エフィンガムのハワード男爵トマス・ハワード (1746年-1791年)
- 第4代エフィンガム伯爵・第10代エフィンガムのハワード男爵リチャード・ハワード (1748年-1816年)
エフィンガムのハワード男爵(1554年、復帰)
エフィンガム伯爵 第2期(1837年)
- 初代エフィンガム伯爵ケネス・アレグザンダー・ハワード (1767年-1845年)
- 第2代エフィンガム伯爵ヘンリー・ハワード (1806年-1889年)
- 第3代エフィンガム伯爵ヘンリー・ハワード (1837年-1898年)
- 第4代エフィンガム伯爵ヘンリー・アレグザンダー・ゴードン・ハワード (1866年-1927年)
- 第5代エフィンガム伯爵ゴードン・フレデリック・ヘンリー・チャールズ・ハワード (1873年-1946年)
- 第6代エフィンガム伯爵モウブレー・ヘンリー・ゴードン・ハワード (1905年-1996年)
- 第7代エフィンガム伯爵デイヴィッド・ピーター・モウブレー・アルジャーノン・ハワード (1939年-2022年)
- 第8代エフィンガム伯爵エドワード・モウブレー・ニコラス・ハワード (1971年-)
系図
脚注
注釈
出典
- ^
この記事はパブリックドメインの辞典本文を含む: Archbold, William Arthur Jobson (1891). “Howard, William (1510?-1573)”. In Lee, Sidney (ed.). Dictionary of National Biography (英語). Vol. 28. London: Smith, Elder & Co. pp. 77–79.
- ^ 海保(1999) p.166
- ^ Lundy, Darryl. “Charles Howard, 3rd Earl of Nottingham” (英語). thepeerage.com. 2014年11月21日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Francis Howard, 6th Baron Howard of Effingham” (英語). thepeerage.com. 2014年11月21日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Francis Howard, 1st Earl of Effingham” (英語). thepeerage.com. 2014年11月21日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Richard Howard, 4th Earl of Effingham” (英語). thepeerage.com. 2014年11月21日閲覧。
- ^ Dictionary of National Biography (英語). London: Smith, Elder & Co. 1885–1900. .
- ^ “The Earl of Effingham, naval officer who developed expertise in the latest intelligence-gathering methods – obituary”. The Telegraph (英語). 8 April 2022. 2025年9月22日閲覧.
- ^ 海保(1999) p.248
参考文献
- 海保眞夫『イギリスの大貴族』平凡社〈平凡社新書020〉、1999年。 ISBN 978-4582850208。
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