ウォータールー橋 (モネ)とは? わかりやすく解説

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ウォータールー橋 (モネ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 07:05 UTC 版)

『ウォータールー橋、ロンドン』
フランス語: Le Pont de Waterloo
『ウォータールー橋、ロンドン』(W1594)[1]
作者 クロード・モネ
製作年 1902年
種類 油彩キャンバス
寸法 65.7 cm × 100.5 cm (25.9 in × 39.6 in)
所蔵 国立西洋美術館東京

ウォータールー橋(: Waterloo Bridge: Le Pont de Waterloo)は、クロード・モネ1900年から1904年にかけてのロンドン滞在中に、ウォータールー橋を題材に描いた油彩画の連作である。チャリング・クロス橋国会議事堂英語版の連作と共に『ロンドン』連作を形成している。

解説

普仏戦争から逃れるため、モネは1870年にロンドンを初めて訪れた[2]。モネはロンドンに魅了され、将来この都市へ再び訪れることを決めたのである。モネは産業革命の産物であるロンドンのスモッグに初めて関心を示したとされる一方で[3]、同様にロンドンの空気やその影響に関心を示したジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナージェームズ・マクニール・ホイッスラーといった画家から影響を受けていることが指摘されている[3][4]。モネは1899年にロンドンへ戻るとサヴォイ・ホテルの一室を借り、ホテルの部屋から見える素晴らしい眺望を連作として描き始めた[2]

その後、1899年から1905年にかけてモネは定期的にロンドンを訪れ絵画を描いた[2]。ウォータールー橋を繰り返し描くだけでなく、国会議事堂やチャーリング・クロス橋も含めたロンドンの様々な光景を描いたのである。絵画すべてをロンドンで描き始めていた一方で、絵画の多くはジヴェルニーにあるモネのアトリエで完成されている。

一覧

油彩画

画像 作品名 ウィルデンシュタイン番号 制作年 寸法(cm) 所蔵先 備考
ロンドン、ウォータールー橋 w.1555 1900年 65.4 x 92.7 サンタバーバラ美術館英語版
アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタバーバラ[5]
ウォータールー橋、曇りの天候 w.1556 1900年 65×100 ダブリン市ヒュー・レーン美術館英語版
アイルランドダブリン[6]
ウォータールー橋、灰色の天候 w.1557 1900年 65.4 x 92.6 シカゴ美術館
アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ[7]
ウォータールー橋、曇り日 w.1558 1901年 65 x 100.5 サントリーコレクション
日本
ウォータールー橋、靄の天候 w.1559 1901年 65.7 x 100.2 フィラデルフィア美術館
アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア[8]
ウォータールー橋、靄の朝 w.1560 1902年 65 x 100 ハンブルク美術館
ドイツハンブルク[9]
ウォータールー橋、灰色の天候 w.1561 1903年 65 x 100 オードロップゴー美術館
 デンマークコペンハーゲン
ウォータールー橋、灰色の天候 w.1562 1903年 65.0 x 101.5 ベルン美術館
スイスベルン[10]
C.グルリット旧蔵
ウォータールー橋、曇りの天候 w.1563 1904年 65 x 99.4 個人蔵[11]
ウォータールー橋、夕暮れ w.1564 1904年 65.7 x 101.6 ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国ワシントンD.C.[12]
ウォータールー橋、太陽の効果 w.1565 1903年 63.5 x 98.4 デンバー美術館
アメリカ合衆国コロラド州デンバー[13]
ウォータールー橋、煙のある太陽の効果 w.1566 1903年 66 x 101 ボルチモア美術館英語版
アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア[14]
ウォータールー橋、太陽の効果 w.1567 1903年 73.8 x 98.1 ミルウォーキー美術館英語版
アメリカ合衆国ウィスコンシン州ミルウォーキー[15]
ウォータールー橋 w.1568 1903年 65.4 x 92.9 ウースター美術館英語版
アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウースター[16]
ウォータールー橋、灰色の天候 w.1569 1903年 65.1 x 100 ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国、ワシントンD.C.[17]
ウォータールー橋、曇天、煙 w.1570 1904年 65 x 100 個人蔵
日本
ウォータールー橋、灰色の天候 w.1571 1904年 65 x 92 個人蔵
アメリカ合衆国
ウォータールー橋、靄の中の太陽の効果 w.1572 1904年 73 x 92 個人蔵
ウォータールー橋、靄の中の太陽の効果 w.1573 1903年 73.7 x 100.3 カナダ国立美術館
カナダオンタリオ州オタワ[18]
ウォータールー橋 w.1574 65 x 81 個人蔵
ウォータールー橋 w.1575 1899-1903年 65.4 x 81.1 デイビス美術館英語版
アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウェルズリー英語版[19]
ウォータールー橋 w.1576 60 x 73 個人蔵
ウォータールー橋、霧の中の太陽の効果 w.1577 1902年 65 x 92 個人蔵
ウォータールー橋 w.1578 65.0 x 82.0 松下美術館
日本鹿児島県霧島市[20]
ウォータールー橋 w.1579 65 x 81 個人蔵
ウォータールー橋、霧の効果 w.1580 1903年 65.3 x 101 エルミタージュ美術館
ロシアサンクトペテルブルク[21]
ウォータールー橋 w.1581 1902年 65 x 100 チューリッヒ美術館
スイスチューリッヒ
ウォータールー橋、霧の効果 w.1582 1904年 65.2 x 100.7 個人蔵[22]
ウォータールー橋、薔薇色の効果 w.1583 1904年 65.5 x 92.7 ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国、ワシントンD.C.[23]
ウォータールー橋 w.1584 63.8 x 79.4 ロウ美術館英語版
アメリカ合衆国フロリダ州コーラルゲーブルス[24]
ウォータールー橋 w.1585 65 x 100 個人蔵[25]
ウォータールー橋、太陽の効果 w.1586 1903年 65.7 x 101 シカゴ美術館
アメリカ合衆国、イリノイ州シカゴ[26]
ウォータールー橋、太陽の効果 w.1587 1903年 65 x 100 マクマスター美術館英語版
カナダオンタリオ州ハミルトン
ウォータールー橋、太陽の効果 w.1588 1903年 64.5 x 100.3 カーネギー美術館英語版
アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ[27]
ウォータールー橋、太陽の効果 w.1589 1903年 65 x 100 個人蔵
アメリカ合衆国
ウォータールー橋、靄の中の太陽 w.1590 1903年 64.8 x 99.7 ロチェスター大学記念美術館英語版
アメリカ合衆国ニューヨーク州ロチェスター[28]
ウォータールー橋、靄の中の太陽 w.1591 1903年 65.1 x 100.7 個人蔵
アメリカ合衆国[29]
ウォータールー橋、靄の効果 w.1592 1903年 65.7 x 100.2 個人蔵[30]
ウォータールー橋、靄の効果 w.1593 1903年 65 x 100 ビュールレ・コレクション
スイスチューリッヒ[31]
ウォータールー橋、ロンドン w.1594 1902年 65.7 x 100.5 国立西洋美術館
日本東京都台東区[1]
靄の中のウォータールー橋 w.1595 1903年 65 x 100 個人蔵

パステル画

画像 作品名 ウィルデンシュタイン番号 制作年 寸法(cm) 所蔵先 備考
ウォータールー橋、ロンドン w.P89 31 x 49
ウォータールー橋 w.P90 31 x 49
ウォータールー橋 w.P91 1899年頃 30.5 x 47.3 個人蔵[32]
ウォータールー橋 w.P92 31 x 48
ウォータールー橋 w.P93 30 x 47 マルモッタン・モネ美術館
フランスパリ[33]
ウォータールー橋、ロンドン w.P94 31 x 48.5 個人蔵[34]
ウォータールー橋 w.P95 31.1 x 50.2 ナショナル・ギャラリー
アメリカ合衆国、ワシントンD.C[35]
ウォータールー橋 w.P96 1903年 30.5 x 44
ウォータールー橋 w.P97 31 x 47
ウォータールー橋 w.P98 1901年 31 x 48 フォン・デル・ハイト美術館英語版
ドイツヴッパータール[36]
ウォータールー橋 w.P99 1901年 31.2 x 48.3 個人蔵[37]
ウォータールー橋、ロンドン w.P100 1899年頃 31.3 x 48.5 オルセー美術館
フランスパリ[38]
ウォータールー橋、ロンドン w.P101 1901年 30.5 x 48.0 トリトン財団旧蔵
オランダ
焼失[注釈 1]
ウォータールー橋 w.P102 37 x 52
ウォータールー橋、霧 w.P103 31.6 x 48.5 個人蔵[41]

脚注

注釈

  1. ^ 2012年10月16日クンストハル美術館において展示されていたところを盗難[39]。その後2013年1月に主犯格の男が逮捕されたものの、主犯格の男の母親が犯行の発覚を恐れ焼却したとされる[40]

出典

  1. ^ a b ウォータールー橋、ロンドン”. 国立西洋美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  2. ^ a b c Khan, Soraya; Thornes, John E.; Baker, Jacob; Olson, Donald W.; Doescher, Russell L. (2010). “Monet at the Savoy” (英語). Area 42 (2): 208–216. doi:10.1111/j.1475-4762.2009.00913.x. ISSN 1475-4762. https://rgs-ibg.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1475-4762.2009.00913.x. 
  3. ^ a b House, John, 1945-2012. (1991). Monet. Monet, Claude, 1840–1926. (3rd ed.). London: Phaidon. ISBN 0-7148-2723-1. OCLC 28061909. https://www.worldcat.org/oclc/28061909 
  4. ^ Sweetman, John (2019-05-23). The Artist and the Bridge 1700–1920. doi:10.4324/9780429440083. ISBN 9780429440083. https://doi.org/10.4324/9780429440083 
  5. ^ ロンドン、ウォータールー橋”. サンタバーバラ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  6. ^ ウォータールー橋、曇りの天候”. ダブリン市立ヒュー・レーン美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  7. ^ ウォータールー橋、灰色の天候”. シカゴ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  8. ^ ウォータールー橋、靄の天候”. フィラデルフィア美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  9. ^ ウォータールー橋、靄の朝”. ハンブルク美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  10. ^ ウォータールー橋、灰色の天候”. ベルン美術館データベース・グルリット公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  11. ^ ウォータールー橋、曇りの天候”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  12. ^ ウォータールー橋、夕暮れ”. ナショナル・ギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  13. ^ ウォータールー橋、太陽の効果”. デンバー美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  14. ^ ウォータールー橋、煙のある太陽の効果”. ボルチモア美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  15. ^ ウォータールー橋”. ミルウォーキー美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  16. ^ ウォータールー橋”. ウースター美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  17. ^ ウォータールー橋、灰色の天候”. ナショナル・ギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  18. ^ ウォータールー橋、靄の中の太陽の効果”. カナダ国立美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  19. ^ ウォータールー橋”. デイビス美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  20. ^ ウォータールー橋”. 松下美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  21. ^ ウォータールー橋、霧の効果”. エルミタージュ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  22. ^ ウォータールー橋、霧の効果”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  23. ^ ウォータールー橋、薔薇色の効果”. ナショナル・ギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  24. ^ ウォータールー橋”. ロウ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  25. ^ ウォータールー橋”. サザビーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  26. ^ ウォータールー橋、太陽の効果”. シカゴ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  27. ^ ウォータールー橋、太陽の効果”. カーネギー美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  28. ^ ウォータールー橋、靄の中の太陽”. ロチェスター大学記念美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  29. ^ ウォータールー橋、靄の中の太陽”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  30. ^ ウォータールー橋、靄の効果”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  31. ^ ウォータールー橋、靄の効果”. ビュールレ財団公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  32. ^ ウォータールー橋”. サザビーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  33. ^ ウォータールー橋”. マルモッタン・モネ美術館公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  34. ^ ウォータールー橋、ロンドン”. クリスティーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  35. ^ ウォータールー橋”. ナショナルギャラリー公式サイト. 2023年2月21日閲覧。
  36. ^ ウォータールー橋”. フォン・デル・ハイト美術館公式サイト. 2023年10月13日閲覧。
  37. ^ ウォータールー橋”. クリスティーズ公式サイト. 2023年10月13日閲覧。
  38. ^ ウォータールー橋、ロンドン”. オルセー美術館公式サイト. 2023年10月13日閲覧。
  39. ^ “ピカソ、モネの作品など7点盗難 オランダの美術館”. CNN. (2012年10月17日). https://www.cnn.co.jp/fringe/35023148.html 2023年3月12日閲覧。 
  40. ^ “盗難に遭ったピカソらの名作7点、容疑者の母親が「焼却」”. AFP. (2013年7月17日). https://www.afpbb.com/articles/-/2956251?pid=11042242 2023年3月12日閲覧。 
  41. ^ ウォータールー橋”. サザビーズ公式サイト. 2023年2月21日閲覧。



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