イプラトロピウムについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 04:06 UTC 版)
「ディープインパクト禁止薬物検出事件」の記事における「イプラトロピウムについて」の解説
ディープインパクトの体内から検出されたイプラトロピウムは、人間への使用だけでなく、馬に対しても呼吸器疾患に使われる薬物である。競走馬に対する使用自体はフランスでも日本でも認められている(後述)が、フランスではイプラトロピウムが体内に残留した状態で競走に参加することは禁じられている。他に禁止薬物として指定している国にイギリス、オーストラリア、アメリカ合衆国等がある。日本では動物用のイプラトロピウムがあまり市場に流通していないので、当時JRAは禁止薬物に指定していなかった。しかし2007年1月に行われた全国の競馬主催者で構成される「禁止薬物に関する連絡協議会」で、JRA馬事部の伊藤幹(もとき)副長は「イプラトロピウムは競走能力に影響を及ぼす明らかな禁止薬物である」という見解を述べ、また「これまで日本では使われていなかったが、今後使われる危険性が非常に高い」と判断した事を発表し、2008年1月から日本でもイプラトロピウムが禁止薬物に指定される見込みであると発言した。実際に対策が早急になされた模様で、2007年3月1日付けで発表された日本中央競馬会競馬施行規程の一部改正による禁止薬物規定の整備で、イプラトロピウムは禁止薬物に追加されることとなった。 なお「フランスでは体内に自然に存在し得ない物質は全て禁止としているが、日本では競馬法で定める必要があるため禁止薬物を逐一指定しなければならないこと」「イプラトロピウムの気管支治療薬としての使用自体はフランスでも日本でも認められている(レース時に体内から抜けていればよい)こと」等の点に留意する必要がある。人間の陸上競技では禁止されていない薬物であり、「2006年1月1日発効の世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が定める2006年度版禁止リスト中の禁止物質を含まない薬剤」に気管支炎用の気管支拡張薬として掲載されている。これを受けて「ドーピング検査が実施される大会期間中でも使用可能な処方薬」としている製薬会社や薬剤関係のHPも多数ある。もっとも、これらのHPでも「2006年度は使用が認められているが、今後禁止薬物に指定される可能性があるのでその度に専門家に相談すること」といった類の注意書きはなされている。
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