イギリスの文学作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 10:31 UTC 版)
イングランド、スコットランドにおいてガウェインは優れた騎士としての姿で描かれている。ガウェイン卿は、数々の物語で大きく扱われた。ただ、ガウェイン卿の評価はフランスの物語がブリテンの騎士を否定的に描いたことにより、やや傷つけられてはいる。それでも中英語の物語においてガウェインは最高の英雄であり『ガウェイン卿と緑の騎士』では非常に優れた人格を持ちながら人間としての弱さを持つ人物として描かれている。また、『ガウェイン卿とラグネルの結婚』(後述)では彼の美徳が醜い姿に変えられていた女性を呪いから解放している。さらに、『アーサーのターン・ワザリング冒険』では実質主人公として活躍している。 しかし、これらの肯定的に描かれたガウェイン卿の姿はトマス・マロリーの『アーサー王の死』によって終わりを告げる。この物語は主にフランスで発達したアーサー王物語をイギリスに逆輸入した物であるが、ガウェイン卿はかなり否定的な人物に描かれてしまっているのである。そこでは、ガウェインは女性関係にだらしなく、また復讐心が強い人物であり、ランスロットを憎むあまりにログレス王国が崩壊したかのように描かれている。ただ、マロリーの筆は相当にランスロットを贔屓しており、息子のロヴェル、フローレンス、ガングラン、及び弟のアグラヴェインを殺されてなお、私憤より公的利益を優先しランスロットとの戦いを避けている点、復讐心が人並み以上に強いわけではない。それでも、さらにランスロット卿に、非武装だった弟のガヘリス、ガレスを殺害され、親類縁者のほとんど全員を失ったことでランスロットとの対決を選んだ。 このマロリー版が有名になってしまったため、中世以降の英語での文献はガウェイン卿を否定的な人物として描くようになってしまった。それでもなお、ガウェインを肯定的に描いた作品も少なくはない。たとえば、ジリアン・ブラッドジョー(Gillian Bradshaw)は『五月の鷹』(原題: Hawk of May)という小説などを発表している。 また、同タイトルの児童文学『五月の鷹』(The HAWK of MAY)がアン・ローレンス(Ann Lawrence)により発表されているが、先述したジリアン・ブラッドジョーによる『五月の鷹』とは別物である。
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