アロハ航空の管理体制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 02:53 UTC 版)
「アロハ航空243便事故」の記事における「アロハ航空の管理体制」の解説
一般に大きな航空会社は、エンジニアリング部門を持っている。エンジニアリング部門は、SBやADの精査、機材の損傷状況の評価、整備計画の要件の確立などといった機体の修理や整備の技術面の責任を担う。また、自社の検査業務や品質保証業務を監視する役割も持つ。 事故当時、他の小規模な運航者と同じくアロハ航空にはエンジニアリング部門がなく、同社では品質保証部門がその役割の一部を担っていた アロハ航空の737型機には、腐食と亀裂の修理が繰り返し行われていた。事故機の胴体の修理回数は20回を超えていた。機材の状態把握が不十分な場合に、このような修理の繰り返しが生じうる。そして、度重なる小規模修理は、フェイル・セーフ性に悪影響を与えうる。事故報告書は、「この種の評価は品質保証部門や整備部門の専門性を超えており、資格を持つ技術者が担うべきだ」と指摘している。そして、同報告書は、「航空機の構造の完全性を維持する責任を果たすための十分な人員や専門知識、教育訓練体制をアロハ航空の整備部門は有していなかった」と述べている。 アロハ航空の整備を監督していたFAAの検査官は、同社に問題があることを認識して、改善すべきと考えていた。しかし、この検査官は同時に、中国・台湾・フィリピンを含む太平洋地域の全9社と7工場を担当していて、高い業務負荷にさらされていた。そして、当時のFAAの監督体制は十分に体系化されておらず、検査官個人の能力や誠実さ、意欲に依存していたと調査報告書は指摘している。さらに、ボーイング社とアロハ航空が737型機の経年化について情報交換をしていたにも拘らず、この検査官はその場から排除されていた。
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