アルベルティの庭園論・別荘生活論
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「イタリア式庭園」の記事における「アルベルティの庭園論・別荘生活論」の解説
15世紀にはいると都市郊外に作られた別荘が都市生活にとって重要になる。レオン・バッチスタ・アルベルティ(1404-1472)はレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)と並ぶ万能の天才とされる。彼は1430年代に教育および家族の倫理について『家族論』を著し、この中で別荘における生活のすばらしさを語る。小プリニウス(古代ローマの行政官で文芸を愛した。62-111頃)の別荘と庭園を基礎に、郊外の丘に太陽と空気と眺めに恵まれた健康によい別荘と庭を余暇の時間を過ごすために造るとよい、と提案。汚く、臭く、暗い、健康に悪い都市の住まいから逃れることを説いている。 1452年には建築デザインの方法を探求した『建築論』を著す。全十冊に渡るこの書物は古代ローマ時代の建築家ヴィトルヴィウスの書物を倣したといわれている。別荘と庭についても別荘と風景の相互浸透のために、敷地選定、家屋計画、庭園の作庭方法などが書かれている。敷地は田園風景を眺めることが出来る丘の斜面が最適とされ、新鮮な空気、太陽・そよ風を別荘に入れ、風景画を部屋の壁に描き、花輪や蔓草の絵・モザイクを壁や床に描くことや、家屋は風景を味わえるように建設しなければならない、都市や海、平原や丘の風景を楽しむことは欠かせないことだとされている。庭園は壁に囲まれた空間であり、これは略奪などから守る最良の手段であるが、丘の斜面に造られることから壁を超えて庭園の外に広がる風景の美しさを味わうことというこうした観念は従来庭園との大きな違いが表れる。その内部は、太陽の光とそよ風の涼しさを十分に味わえることが基本である。樹木は規則正しく植栽される。また柱廊が壁沿いに造られたり、小径が常緑樹で嫁取りされたり、小川が造られたりする。また舗装部分には風景などの絵が描かれる。庭園全体の具体的なデザインは記されていないが、それでもこのような考えから庭園が造られたことがわかる。
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