アメリカ大陸への伝播
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 21:58 UTC 版)
「マラリアの歴史」の記事における「アメリカ大陸への伝播」の解説
マヤやアステカの「医療本」には、マラリアへの言及は存在しない。ヨーロッパからの移住者や西アフリカからの奴隷が、16世紀にアメリカ大陸へマラリアを持ち込んだと考えられる。 チャールズ・C・マンは著書『1493―世界を変えた大陸間の「交換」』(1493: Uncovering the New World Columbus Created) の中で、アフリカ人奴隷がイギリス領アメリカにもたらされた理由は、彼らのマラリアへの免疫性のためであるという思索を引用している。イギリスはアフリカ人奴隷を多く所有しておらず、年季奉公人として働く失業者を多く抱えていた。メイソン=ディクソン線の北側の領域ではマラリア原虫は生存することができず、英語を話す年季奉公人は自由を目的として労働するため監督や強制は少なくて済み、より有益であった。マラリアが拡大すると、以前は白人が居住していたバージニアやサウスカロライナの海岸地帯でもマラリアが流行するようになった。ことに合衆国の首都となったワシントンD.Cは、元来沼沢地であったため蚊がはびこり、ジョージ・ワシントン、エイブラハム・リンカーン、ユリシーズ・グラントらの大統領がマラリアに感染した。小規模な白人の土地所有者は、彼らが病気になると経済的に破滅する危険性があるため、マラリアに抵抗のある西アフリカ奴隷に依存するプランテーションの所有者よりも不利であった。マラリアはアメリカ南部で、独立戦争中のイギリスの勢力や、南北戦争中の北軍の勢力に重大な損失をもたらした。また、マラリアはネイティブ・アメリカンの人口を減少させるとともに、他の病気の影響を受けやすくした。
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