アジア市場の形成と日本の立ち位置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 05:57 UTC 版)
「法整備支援」の記事における「アジア市場の形成と日本の立ち位置」の解説
日本以外のアジア諸国の経済発展が堅調に進み、アジア全体が市場としての一体性を増していく中で、国境を越えた法律その他のルール調和の必要性が高まっている。そういった文脈でも、アジアで最初に近代的な法制度を整備した日本がリーダーシップをとるべきであり、このことがアジア圏全体の利益であるのみならず日本の国益にも資する、日本の国際的な関わりを製造業にばかり依存するのではなく、法制度や規格などのルール形成にも積極的に関わっていくべきであるとの指摘(藪中三十二・元外務省事務次官)がされている。法整備支援は、世界のアジアシフトという大きな国際情勢の変化の中で、より高い戦略性が求められているといえる。 また、こういった日本のリーダーシップを実現していくためには、「日本の法律実務家がアジア各国の法律実務家と接する機会をより多く持つようにすることが非常に重要である」との指摘(伊藤元重・東京大学教授)のほか、国際的な民商事紛争の解決で重要な役割を果たしている仲裁について、イギリス法のもと、シンガポールや香港といったイギリスの旧植民地が圧倒的な存在感を有する一方、日本では法律家にさえ正確な理解が浸透していないことの問題を指摘する声もある。この点では、裁判所も重要な位置づけを有するとされており、仲裁地としての国際的プレゼンスを高めるためには、当該国の裁判所が国際的な商事仲裁スキームを正確に理解し、仲裁判断への不当な介入を控える姿勢・体制を採ることも重要とされている。シンガポールのような商事仲裁地として成功している国では、仲裁(arbitration)に関係する案件が裁判所に持ち込まれた場合、商事仲裁に精通した特定の裁判官に担当を集中させている。 このように法整備支援は、法整備支援の視点だけから考えるのではなく、民間セクターとの連携、さらには社会的・経済的なルールの国際的調和や外交などより広い文脈の下での戦略性が求められるに至っている。
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