アイン・ランドのパンフレット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 08:59 UTC 版)
「アメリカの理想を守るための映画同盟」の記事における「アイン・ランドのパンフレット」の解説
1947年、アイン・ランドがこの同盟のパンフレットを書いた。アメリカ映画業界に対する彼女の個人的印象に基いて書かれたこのパンフレットには、『アメリカ人のためのスクリーンガイド』(Screen Guide for Americans)というタイトルが付けられた。以下はこのパンフレットからの抜粋である。 ハリウッドの共産主義者たちは、共産主義を公然と唱導するような政治的な映画を作ろうと狙っているわけではない。彼らは、政治的ではない映画を堕落させることによって、我々の道徳の前提を崩壊させようと狙っているのだ。他愛もないストーリーに、小さなプロパガンダをさり気なくちりばめることで、遠回しに、それとなく、人々に集産主義の基本原理を吸収させることによって。 〔中略〕 言論の自由の原理は、共産主義者たちによる主張の表明を、我々が警察力で禁圧しないことを要求している。すなわち、共産主義者たちの発言を禁止する法律を、我々が制定しないことを要求している。しかし言論の自由の原理は、共産主義者たちに主張の宣伝手段を提供することを、我々に要求しているわけではない。我々の滅亡を唱導する仕事を、我々の負担で彼らに与える義務や、彼らが我々の滅亡を唱導するのを、我々の負担で支援する義務を、我々が彼らに負っていることを含意するわけでもない。 ランドはこのパンフレットとは別の場所で、大衆に人気があり評論家からも称賛されている映画が、密かに共産主義者や集産主義者のメッセージを伝えている(と彼女が見なす)例を挙げた。ランドが例に挙げた映画には、『我等の生涯の最良の年』(The Best Years of Our Lives)や『楽聖ショパン』(A Song to Remember)があった。前者については、ビジネスマンを否定的に描いていることや、銀行家は退役軍人に無担保で融資すべきと示唆していることを理由に挙げた。後者については、ショパンは自分の音楽に身を捧げたのではなく、愛国の大義のために自己を犠牲にしたと暗示していることを理由に挙げた。ランドは、こうした作品が密かに共産主義者や集産主義者のメッセージを伝えていることを、一般の人々は気づいておらず、保守派でさえ気づいていないと主張した。
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