山水
「山水」とは、山や川のこと、および、山や川のある美しい自然の風景を意味する表現である。あるいは、山から流れ出る清水のことである。
「山水」は、「山や川」ならびに「自然の風景」を意味する場合は「さんすい」と読む。他方「山から流れる水」を意味する場合は「やまみず」と読まれることが多い。
「山水」の基本的な意味
「山水」の「山」は山岳のことであり、「水」は河川あるいは湖沼のことである。「山水」は文字通り「山岳と河川」を指すというよりは、山や川に代表される「自然の景色」や「自然の風景の美しさ」、あるいは「自然そのもの」を指す意味で用いられることが多い。木々や草花その他の自然の風物が、「山水」の中には暗に含まれているわけである。
たとえば「山水画」は、自然の風景を画題とする絵画のことである。この「山水画」を略して「山水」と呼ぶこともある。
「枯山水」に代表される、日本庭園の様式としての「山水」は、庭に築山や池を設け、それぞれ山や湖沼に見立てて、自然の風景を表現するものである。枯山水の場合は岩や小石によって山水を表現する。
「山水」は基本的には名詞として用いられる。ただし歴史的には、「侘しいさま」を意味する語として形容動詞的に「山水なり」という言い方が用いられた例もある。
「山水」を含む熟語・言い回し
枯山水
「枯山水」とは、日本庭園の様式のうち、庭に岩・石・砂利などを配置して波模様を描いたりして「山水」を象徴的に表現する様式である。砂利に畝状の模様を作って水の流れを表す。龍安寺の石庭が代表的な作例である。画山水
「画山水」とは、「描かれた山水」ということであり、つまり「山水画」のほぼ同義語である。山水画に描かれている山水(画題となった景色)を特に指す場合もある。青緑山水
「青緑山水」とは、群青や緑青などの顔料を使用して描いた山水画のことである。この「青緑山水」のうち、金泥を使用して豪華に仕上げた山水画は、特に「金碧山水」と呼ばれる。山水画の多くは墨の濃淡を駆使して描かれるモノクロームの水墨画である。水墨画として描かれた山水画は「水墨山水」とも呼ばれる。
水墨山水
「水墨山水」とは、水墨のみを使用し、墨の濃淡によって景色を描いた山水画のことである。顔料を使用した山水画が「青緑山水」と呼ばれて対比される。楼閣山水
「楼閣山水」とは、山や川などの自然の風景に、背が高い建物である楼閣を添えた題材のことである。代表的な作品としては、江戸時代の中頃に池大雅(いけのたいが)が制作した「楼閣山水図屏風」(国宝)が挙げられる。- やまみずのページへのリンク